小説版『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』感想(2016年03月09日〜 05月14日)


セガの対戦ロボットアクションゲーム電脳戦機バーチャロンシリーズと、電撃文庫学園異能ラノベ鎌池和馬とある魔術の禁書目録』のコラボ作品である『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』(以後『とあるバ』)のゲーム版の発売日が決まったりPVが公開されたりしたようなので、記念に小説発売当時の自分の感想ツイート(+企画発表時の反応+他アカウントの関連ツイート)を改めてまとめておきます。togetterを使ってもよかったのですが、セルフまとめはブログでやれと言われることが多いので、今回はブログで。

一応、自分のバーチャロン履歴を述べておくと、最後にちゃんとプレイしたのはPS2のMARZまで。アーケードでのプレイ経験はほぼ無し。『とあるバ』のゲーム版を購入する予定は今のところありません(そもそもVITAもPS4も持ってない)



(発売前)


















(発売後)


























以上です。

いま改めて付け足すようなことはそんなにありませんが(やっぱりサーフィンはやってほしかったなあああといまだに思うぐらい)、小説の感想とは別にいくつか。



『とあるバ』小説版以前から、電撃文庫SEGAは「電撃文庫創刊20周年大感謝プロジェクト」の一環として「電撃文庫 VS SEGA」と題したコラボレーション企画を複数展開していました。

電撃文庫 VS SEGA | 電撃文庫創刊20周年大感謝プロジェクト | AMW

その第4弾であり、最も規模が大きいと思われる企画として、電撃文庫作品のキャラクター達が(なぜかセガの世界で)戦う格闘ゲーム電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』があります。そして、このゲームのプロデューサーの一人は、バーチャロンシリーズのプロデューサーでもある、Dr.ワタリこと亙重郎でした。

電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION

電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION

『とあるバ』自体が「電撃文庫 VS SEGA」に含まれるのかははっきりしませんが(電撃文庫 VS SEGAのページには載っていない)、少なくとも全く何も無いところから突然魔法のように湧いて出た企画ではない、ということは分かってもらえるでしょうか。

また、『とあるバ』以前にもバーチャロンには複数のコラボ、クロスオーバーの実績があります。たとえば、スパロボことスーパーロボット大戦(説明するまでもないでしょうが、複数のロボット作品(主にアニメ)のキャラクターとロボットが一堂に会するシミュレーションRPGです)。バーチャロンは、2005年の第3次スーパーロボット大戦αを皮切りに、既に三度の参戦を果たしています。

第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-

第3次スーパーロボット大戦α -終焉の銀河へ-

スーパーロボット大戦K(特典無し)

スーパーロボット大戦K(特典無し)

スーパーロボット大戦UX - 3DS

スーパーロボット大戦UX - 3DS

加えて、この最後のスパロボUXバーチャロンシリーズ名義で参加している「フェイ・イェンHD」は、女性型バーチャロイドバーチャロンシリーズにおける巨大ロボット兵器の総称)フェイ・イェンと、言わずと知れたクリプトン・フューチャー・メディアボーカロイド初音ミクのコラボキャラクターです。

COMPOSITE Ver.Ka VIRTUAROID VR-014/HD フェイ・イェンHD

COMPOSITE Ver.Ka VIRTUAROID VR-014/HD フェイ・イェンHD

フェイ・イェンといえば、初代バーチャロン当時に発売されたドラマCDでは、現実世界でバーチャロンを遊ぶ少年達が時空の歪みに巻き込まれ電脳歴(バーチャロンシリーズ内での紀年法)の世界に迷い込み、オリジナルフェイ・イェン*1(姿は等身大の美少女。ブックレットでカトキハジメ画の美少女版フェイ・イェンも見られる)と出会って……という、バーチャロンに“硬派”を求めていた人々は恐らく卒倒したであろう物語が展開されていました。これは別に原作無視の暴走などではなく、プロデューサーの監修を経た内容であり、二作目の「COUNTERPOINT 009A」に至ってはDr.ワタリ自身が脚本を書いています。

電脳戦機バーチャロン サイバーネット ラプソディー

電脳戦機バーチャロン サイバーネット ラプソディー

CYBER TROOPERS VIRTUAL-ON COUNTERPOINT 009A EPISODE#16

CYBER TROOPERS VIRTUAL-ON COUNTERPOINT 009A EPISODE#16

さらに言うと、そもそもフェイ・イェンというキャラクター自体が、ある意図をもってバーチャロンというゲームに持ち込まれた存在でした。

SRV-14フェイ‐イェンは、その形状や攻撃方法が一部で物議を醸した異色の女性型バーチャロイドである。「バーチャロン」のリリース時、いわゆる「ガンダム・リアル」にあてはまらない異分子として敵視、或いは「無いもの」として無視されるという不幸な扱いを受けた。しかし、フェイ‐イェンは形骸化した教条主義ガンダム・リアルへの盲信&盲従に対する警鐘として、バーチャロン・ワールドに投入されたのである。
注意すべきなのは、そのデザイン・フォルムが、日本のアニメ・ロボット文化におけるトラディショナルなラインを継承しつつ、これを無自覚に踏襲することに疑問符を提示している点である。縮小再生産の袋小路に閉じ込められて自らの進むべき道を見失った時、束縛を破る強い心が求められる…そんな彼女のコンセプトは、バーチャロンある限り今後も脈々と受け継がれていくことになる。

(『CYBER TROOPERS VIRTUAL‐ON REFERENCE SCHEMATIC電脳戦機バーチャロン副読本』(ソフトバンククリエイティブ)より*2

さらにさらに言うと、今は亡きゲーム雑誌『ゲーマガ』の前身の前身の前身である『セガサターンマガジン』では、『銀河お嬢様伝説ユナ』やMS少女*3などで知られるメカデザイナーイラストレーターの明貴美加氏による擬人化企画「バーチャロイド少女」というものが存在し……

さすがにキリがないのでこの辺にしますが、要は何が言いたいのかというと、バーチャロンというシリーズは昔から、その始まりから、ある種の「外側」を志向する性質を備えていたということです。良くも悪くもプレイヤーの予想を裏切り、固定観念を打破すること。実際にそれがどこまで実現できていたのか、また作品の質の向上にどの程度繋がっていたのかは別にして、バーチャロンの目指す理想の一つはそういうところにもあったのではないでしょうか。

わたしのようなニワカが偉そうに言えたことではありませんが、それを忘れている人がもしもいるのであれば、この機会に改めて思い出していただければ、と。今になって「萌え豚に媚び売る感じ」とか言い出したって、予約特典でサイズ別のおっぱいパーツ付けるようなゲームなんですよ?

バーチャロンのこの、挑戦者・破壊者としての姿勢が頭に入ってさえいれば、15年ぶりの移植ではない完全新作が禁書とのコラボになったことのひとつやふたつ……まあ、やっぱり、ビックリはするわな。





(ほしいものリスト)
http://www.amazon.co.jp/registry/wishlist/9S6BGQY6R7A2

*1:本来のフェイ・イェンは、天才科学者が作り出した世界に一体しか存在しない単なる兵器を超えたバーチャロイドであり、ゲームに登場するフェイ・イェンはその不完全なコピーに過ぎない、というややこしい設定がある。

*2:この部分の執筆者ははっきりとは分からないが、恐らく亙重郎

*3:MS少女 - Wikipedia「MS少女(えむえすしょうじょ)は、アニメ「ガンダムシリーズ」に登場するモビルスーツ(MS)の外装を、美少女にコスプレさせるようにデザインされたキャラクター群の総称。」