い(い)きる。

生きることは言い切ること。

決定版 ラノベ・なろう関連情報収集にオススメのTwitterアカウント

90年代初頭から大きく発展した若年男性をメインターゲットとする小説カテゴリーであり、今ではアニメ原作にも多く採用されているライトノベル

最大手のweb小説投稿サイトとして、膨大な書籍化作品が生まれ続けている「小説家になろう」。

互いに密接な関係を持つこれらの分野はどちらも急速な発展を遂げ、個人ではその全貌を把握するのが不可能なほど大きな規模となっています。そのため、ネット上にはラノベ・なろうに関する無根拠で刺激が強いだけのいい加減な情報が氾濫していることは、皆さんもよくご存知でしょう。

そんな状況で、ラノベ・なろう読者や作家志望者、あるいは興味だけはあるが手を出しかねている部外者たちは、情報の洪水に溺れて目を回し続けるしかないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。信頼できるソースからだけ情報を受け取れば良いのです。

ここではわたしが厳選した、ラノベ・なろう界における良質な情報源たりうるツイッターアカウントを紹介します。


うっぴー/ライトノベル法研究所 (@ranokenn)


2004年から続く老舗の創作・交流サイト「ライトノベル法研究所」(以後「ラ作研」)の管理人であり、ラ作研名義の著書も刊行。

ライトノベル創作教室

ライトノベル創作教室

専門学校講師の経験もあり、近年は作家志望者・プロ作家向けオンラインサロン「エンタメノベルラボ」を、作家・シナリオライター瀬川コウ氏と共に運営するなど、活動の場を更に広げています。


そんな多才なうっぴー氏のツイッターアカウントは、長年の研究と業界関係者との繋がりに裏打ちされた、なろう・ラノベ関連のしっかりした情報をほぼ毎日発信しています。サイト名に「作法」を掲げるだけあり、自由度の高さが特徴とされるライトノベルが、実のところ非常に「不自由」なジャンルなのだという真実を突きつける鋭い内容が多いですね。残酷なようですが、特に作家志望者にとっては大きな糧になるはずです。




また、ライトノベル・なろうだけでなく、BLなどの他分野にも造詣が深いようです。ラノベやなろう関係に限らず幅広く知的な洞察を読むことができるので、気軽にフォローしてみるといいでしょう。

正直なところ、このうっぴー氏の活動を追うだけで現在のラノベ・なろう業界の動向は90パーセントぐらいは把握できてしまいます。ラノベにさほど興味がないのなら、とりあえず@ranokennをフォローしておくのが最も効率がいい選択です。とはいえ、情報は複数のソースを突き合わせることも重要。やはりその他のアカウントも簡単に紹介しておきますね。

いかぽん@魔術学院を首席で~4巻7月30日発売予定(@ikapon1)


なろう書籍化作家。デビュー前から盛んにラノベ論・創作論を語っていました。



紅茶乃香織@ラノベ作家『私、勘違いされてるっ!?』発売中!(@shosetsuyomitai)


私、勘違いされてるっ!? ~最強吸血鬼と思われているので見栄とハッタリで生き抜きます~

私、勘違いされてるっ!? ~最強吸血鬼と思われているので見栄とハッタリで生き抜きます~

なろう書籍化作家。



青木潤太朗 (@aokijuntarou)


インスタント・マギ (NOVEL0)

インスタント・マギ (NOVEL0)

漫画原作者ラノベ作家。

ちなみに、コミケ終了後にコスプレ乱交パーティーへの参加(見学)経験あり。コンドームのサイズはL。

MG 1/100 XXXG-01D ガンダムデスサイズ EW (新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)

MG 1/100 XXXG-01D ガンダムデスサイズ EW (新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)

とびらの@鮫島くん完結したで(@tobiranoizumi)


なろう文字書き。小説はほぼ無名ですが、ツイッター上の創作論・読者論には積極的に参加しているようです。上で紹介したいかぽん氏と仲がいいらしく、思想もだいたい似ています。

いかがでしたか。これらの優良アカウントを一通りフォローしておけばそれだけで、控えめに言っても「なろう・ラノベの大先生」と呼ばれるにふさわしい事情通となることができます。ぜひ一度お試しください。

「じゃあお前、誰になら読まれたい?」 文字書きのweb小説読者不信と理想の読者をめぐって

言葉の使い方に違和感はありますが、言わんとするところは分からなくもありません。

たとえば、腐女子ホモセクシュアルを題材にしたフィクションを好む女性)が、性描写を主眼としたヘテロ男性向け成年漫画・小説・ゲーム・アニメ等に触れたところで、その良し悪しをまともに判断できる可能性は低いはずです。作品が適切に評価されるためには相応しい受け手の元に届けられる必要があり、もし仮にそのマッチングがどうしようもなく機能不全を起こしている場合、作り手が現状に不満を抱くこともあるでしょう。つまり、割れ鍋に綴じ蓋、蓼食う虫も好き好き、餅は餅屋、カエサルの物はカエサルに、灰は灰に、コードATA!というわけです。

スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION ラミア・ラヴレス (1/8 PVC塗装済み完成品)

スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION ラミア・ラヴレス (1/8 PVC塗装済み完成品)

それはそれとして、一つの疑問があります。

「web小説」の読者が信用できない文字書き(アマチュア小説執筆者)は、いったい“誰”からの評価なら認めるのでしょうか。言い換えると、“何”を読んでいる人間になら、たとえ自作をボロクソに批判されたとしても甘んじて受け入れられるのか。

文字書きの方々は、この点についてちょっと考えてみてくれませんか。ここでの「何を読んでいるか」は、ハードSF、本格ミステリ、「ラノベではなくジュブナイル」といった漠然としたカテゴリーよりも、なるべく具体的な作品であることが望ましいです。

たとえば、「『小説』と『web小説』はもうそれぞれ独立した文化」ツイートをした文字書きの方の代表作は、こちらのようです。


作者からの一言コメント

スーパーすぎる+リアルすぎる合体ロボ小説

勇気を出して告白をしようと、速水勇夫は倉科智美を喫茶店に呼び出した。

が、いざ告白をしようとしたその瞬間、大地が割れ、轟音とともに二人は闇に飲まれていった。

気が付くと光の閉ざされた闇の世界。

脱出方法を探し、光を求めてさまよう二人は、謎の施設を発見する。 

東京の一部に壊滅的被害をもたらした謎の大地震

巻き込まれた6人の老若男女が、日本を襲う戦争の脅威にさらされていく。

普通の高校生、勇夫と智美は、生き延びることができるのか。

世界を飲み込む脅威の正体を知った6人の選択は。

この「蒼翼の獣戦機トライセイバー」は、ジャンルとしては巨大ロボットもの、になるのでしょうか。

これを「『小説』(not web小説)」読者に読んでもらいたい、がアバウト過ぎて論外なのは当然として、「とにかく読み応えのある小説を読みたい方」、ロボット小説読者、でもまだ広い。読み応えのあるロボット小説と一口に言っても、『E.G.コンバット』から『機龍警察』までその中身には色々あるわけで*1、それだけでは理想的な読者を考える上で限定が足りません。

E.G.コンバット (電撃文庫 あ 8-1)

E.G.コンバット (電撃文庫 あ 8-1)

「蒼翼の獣戦機トライセイバー」を良くも悪くも正しく理解できる(と作者が思える)のは、果たしてどのロボット小説の読者なのか。いや、自作がロボット小説だからといって、別にロボット小説の読者にこだわる必要もなく、とにかく何であれ具体的に一作以上挙げられればそれでいいんですけど。

もしも、この問いに答えが一つも思い浮かばなかった場合。それは、自作の面白さの方向性について自分自身すら上手く咀嚼できていない、ということになります。そんな状態では、読者とのマッチングをどうこう言う前に、まずは自分が「何を書いているのか」を把握するのが先決となるでしょう。

もちろん、自作がどう面白いのかについて完璧に確信を持って理解はしているが、それはこれまでに全く前例の無い斬新な面白さのため既存の作品・ジャンルを一切基準にはできない、という可能性もあります。ありますけど、それは、宝くじを買えば1億円もらえる可能性がある、というぐらいの「可能性」であって……

繰り返しますが、基本的には自分が好きで書いているweb小説とはいえ、批判ばかり受けたり、そもそもあまり読まれない黙殺に近い状態が続いたりすれば、読者の評価基準を疑いたくなる気持ちは分かります。ただ、「正しく評価されない」というのであれば、せめて正しい評価の条件(評価者の資格)ぐらいは、最低限自分の中できっちり設定しておくことが必要です。

さもなければ、どこかにいるはずの自分の作品を正しく理解してくれる「『小説』(not web小説)」読者というような、ふわふわした幻想に延々とすがり続けて泥沼に沈むことになるので。



一応はネットで小説のようなものを書いたことがなくもない者の一人として、自戒を込めた文章でした(万能の免罪符)

*1:もちろん実際には作品を計る基準は一つではないので、「〇〇から✕✕まで」という言い方はあくまで言葉の綾。

女性ラノベ主人公は存在しない

(注意︰とある時雨沢恵一作品の一応のネタバレを含みます)



ライトノベル。アニメ・漫画・ゲーム的な感覚を取り入れたエンターテイメント小説の総称です。前世紀末から我が国で急速に発展したこの分野では、そのメインターゲットが男性である都合上、女性主人公がほぼ存在しません。

そう言われて、え?アレとかソレとかあるでしょ?と首を傾げた方も多いでしょう。そうですね、生物学的には女性であるキャラクターが主人公を務めるラノベというだけなら、たしかにそれなりの数があります。

しかし実のところ、それらの「女性主人公」と呼ばれるものは、女性の皮をかぶった「実質的男性」に過ぎないのです。だから上の命題は正確には、ラノベには「本当の女性主人公」はほぼ存在しない、ということになります。

「実質的男性」である「(偽)女性主人公」の実例を見ていくことで、この事実を確かめてみましょう。


リナ=インバース(神坂一スレイヤーズ』)

作中世界で(人間の中では)最強レベルの天才魔道士。特に攻撃呪文の多い黒魔術を得意とする。言わずと知れた超有名シリーズであり超有名キャラクター。

リナは弱冠15歳ながら、物語開始時点で既に一人で世界を旅しています。降りかかる火の粉を自分の力で振り払える「ヒーロー」として、ある程度完成されているということですね。魔法のみならず剣もそれなりに使えるという万能ぶりで、チートな俺TUEEEのはしりと言ってもいいでしょう。

また、彼女(実質的に彼)の趣味は、実益を兼ねた盗賊いじめ。この欲望に忠実な暴力性、これだけで「実質的男性」の資格は十分です。

一つささいな問題があるとすれば、相棒である剣士の青年、ガウリイ=ガブリエフとの関係でしょうか。彼は超スゴ腕の剣士で、リナの「保護者」を自称しています。それに、ガウリイの命を救うために、世界を滅ぼす(かもしれない)魔法を使う決断をリナがしたことも。この強い結びつき、もしかして男女の恋愛なのでは……?とつい思ってしまいそうになりますが、それは単なる錯覚です。リナが実質的男性である以上、二人の関係性はいわゆる「ブロマンス」的なものと解釈するのが妥当でしょうね。


ブロマンス(英語: Bromance)とは、2人もしくはそれ以上の人数の男性同士の近しい関係のこと。性的な関わりはないものの、ホモソーシャルな親密さの一種とされる[1]。

山本洋子(庄司卓それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』)

それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】1

それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ【完全版】1

30世紀の未来で、人が死なない戦争に参加する、現代の女子高生。

作品を実際には読んだことがないので詳しいことは分かりませんが、この洋子というキャラクターはビデオゲームが好きで、特にシューティングゲームが非常に上手いのだとか。ゲームといえば基本的に男の趣味。実際、いま流行りのeスポーツでも、選手の多くは男性らしいですね。

野球やサッカーのようなプロスポーツを彷彿とさせるeスポーツ業界だが、その中で“少数派”とされているのが、女性選手だ。現在、プロシーンで活躍する選手はほとんどが男性で、女性はほんの一握り。体格などの性差にとらわれず、男女平等に戦えるのがeスポーツの良さでもあるはずだが、圧倒的な“男性社会”だと言えるだろう。

さらにダメ押しとして、アニメ版のキャストが高山みなみ氏。高山氏といえば、『名探偵コナン』をはじめ少年役で有名な声優さんです。ここも、実質的男性ポイントにプラス1ですね。

和穂(ろくごまるに封仙娘娘追宝録』)

自分の不手際でばら撒いてしまった宝貝(仙人の道具)を回収するために、仙界から人間界に降り立った元仙人。

この作品での仙人は山を動かし月を落とすような強大な力を持った存在ですが、和穂は人間界に降りる時にその仙術や知識を全て封じられています。つまり、知恵と勇気こそあるものの、能力的には普通の人間に過ぎないということです。

直接の戦闘は基本的に、相棒である宝貝(この世界の宝貝は意思を持ち人間の姿になれるものもある)の殷雷刀に任せることになりますし、これではまるで「女性主人公」なのでは……?

と早とちりしてしまう前に、上の表紙画像をよーく見てください(いちおう言っておきますが奥にいるのが和穂です)

気づきましたか?そう、和穂は眉毛が太いのです

これは、イラストでだけそうなっているのではなく本編の中でも描写があり、「眉毛の女」と呼ばれることさえあります。

これほど太い眉毛は、女性ではあり得ません。やはり和穂も実質的男性なのです。

ブギーポップ霧間凪上遠野浩平ブギーポップ」シリーズ)

黒い服を着た都市伝説の死神と、自警団的な活動を行っている「正義の味方」の女子高生。

ブギーポップシリーズはそれぞれの巻が半ば独立したストーリーなので、誰が主人公なのかというのは難しい問題ではありますが、とりあえずこの二人が特に重要なキャラであるのは間違いないでしょう。

ブギーポップは、普通の女子高生、宮下藤花に宿った?二重人格?のような?存在であり肉体は女性ですが、自分のことを「ぼく」と呼びます。一方、霧間凪の一人称は「オレ」です。

現実には、自分を「ぼく」「オレ」と呼ぶ女は存在しません。よって、これだけでこの二人は実質的男性となります。

「オレ」女がどのぐらいあり得ないのかというと、実写映画版および旧アニメ版において、脚本の村井さだゆき氏が(リアリティがないからという理由で?)凪の一人称を変更していたほどです。さすがは村井氏ですね。

ブギーポップは笑わない [DVD]

ブギーポップは笑わない [DVD]

キノ(時雨沢恵一キノの旅 -the Beautiful World-』)

喋るバイクに乗って様々な国を巡る旅人。

男装、一人称「ボク」、自己責任論者、足がバイクな時点で実質的男性確定ではありますが、キノは更に、鉄砲の扱いが達者であるという特徴まで持っています。鉄砲といえば、フロイト的には男根の象徴。これはもう圧倒的に男らしくて男くさい男の中の男と言っていいでしょう。

ターニャ・フォン・デグレチャフカルロ・ゼン幼女戦記』)

幼女戦記 1 Deus lo vult

幼女戦記 1 Deus lo vult

読んだことないのでよく知りませんが、身体は幼女で中身はオッサンらしいです。つまり実質的男。まあ、この作品に関しては主人公どうこうよりも、そもそも「ライトノベル」であるかどうかという問題があるのですが……

小山ハル(平鳥コウ『JKハルは異世界で娼婦になった』)

JKハルは異世界で娼婦になった (早川書房)

JKハルは異世界で娼婦になった (早川書房)

ナーロッパ的異世界に転生して風俗嬢をやる女子高生。

人格的には作者の思想(なろう叩き)の代弁者、腹話術人形でしかなく、未確定情報ですが作者は男性という話もあるので、実質的に男。


まとめ

以上で見てきたように、ライトノベルに「本当の女性主人公」というものはほぼ存在しないことが改めて明らかになりました。

そうなると、どうせ偽物ならなぜ男性主人公ではなくわざわざ「女性主人公」を選択するのか?という当然の疑問が浮かんできます。これに関しては、「男だとむさ苦しくなる」「自分の好みの女性を操れる」というのが今のところ有力な説であるようです。

ときどき、ライトノベルのこういった「(偽)女主人公」事情をジャンルの後進性と判断して、オレがラノベに真の女性主人公作品を持ち込んでやる!と意気込むプロ・アマチュア作家が現れるのですが、その挑戦はことごとく失敗に終わっています。出てきたものは、こね回したぶん通常よりも歪になっただけの偽女主人公でした。

彼らは、ライトノベルが持つ反・女性主人公の重力を甘く見ていたのです。たとえ女性作家であろうとも、ラノベというフィールドで執筆する限り、「本当の女性主人公」を描くことはできません。決して。

これは悲観するような話ではありません。スニーカーやファンタジアや電撃やMFJやファミ通やガガガやスーパーダッシュやGAやHJに「本当の女性主人公」が存在しないのは、適切な棲み分けであり、自然の摂理なのです。コバルトやホワイトハートビーンズに、本物の暴力と性欲を持った「本当の男性主人公」が一人も存在しないのと同じように。

ラノベ作家(志望者)とラノベ読者の方々は、この真理を頭の片隅にでも置いといてください。

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(参考)


メディアは存在しない

メディアは存在しない

性別による小説(ラノベ)受容態度の違い

一般的に知られた事実ですが、小説の読み方には大きく分けて二種類あります。1.描写を元にして作中の光景や人物の容姿を映像のように具体的にイメージしながら読むタイプと、2.視覚化にはさほどこだわらず「文章そのもの」を読むようなタイプです。

この読書スタイルの違いは当然、作品の評価基準にも影響を与えます。極端な言い方をすると映像化タイプの人にとっては、たとえばシンプルな描写でテンポ良く進行する作品というのは、小説として楽しむために最低限必要な情報量が足りていない不完全な失敗作でしかないわけです。

これは、数年来「小説」「ライトノベル」に関する発言を主にTwitterで観察し続けてきたわたしの実感ですが、脳内映像化タイプの人間はどうやら女性に多いようです。この小説はキャラの外見や風景が思い浮かばないので読め(たもんじゃ)ない、といった女性アカウントの発言を何度となく目にしました。

右脳が弱くいつもいい加減なイメージで小説を読んでいるわたしなどは、その程度のことが本当に大きな欠点になるのか?と、つい首を傾げてしまうところです。しかし、言われて見れば思い当たるフシもあります。

主に男性向けのエンタメ小説カテゴリーであるライトノベル。その中で、比較的女性にも受け入れられた作品を見てみると、その場の視覚的要素を一から十まで書き起こすような緻密な描写が売りのものが目立ちます。

ラグナロク―黒き獣 (角川スニーカー文庫)

ラグナロク―黒き獣 (角川スニーカー文庫)

されど罪人は竜と踊る (角川スニーカー文庫)

されど罪人は竜と踊る (角川スニーカー文庫)

女性向けのレーベルはあまり読んだことがないので分かりませんが、恐らくは全体的に、少年向けよりも視覚的な描写に重きを置いた内容になっているのでしょう。

また、小説から話はズレますが、女性向けの漫画には男性向けと比べて、キャラクターの頭身が高くリアル寄りの絵柄が多い傾向があります。

これもまた、小説の場合と同じ感覚の現れではないかと思われます。キャラをデフォルメすると実体を持った存在から概念(萌え要素)に近づくため、女性向けではあくまで生身の「人間」として描かれる必要があるわけです。たとえ建前であっても。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

省略や抽象化といった手法にあまり価値を見出さないこのような傾向が、文化によるものなのか、それとも脳の器質的な差異に由来するのかは、これからの研究を待たねばなりません。ただ、女性向けに作品を書く男性、あるいは男性向けに作品を書く女性は、この点を意識しておいて損はないでしょう。

最後に余談ですが、わたしが小説を読む際の脳内イメージはだいたいこんな感じです。

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「残暑2019」カスタマーレビュー

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通りすがりのマニア
☆☆☆☆ タイトル詐欺
2019年9月7日

前作の「夏2019」が、夏らしい夏で悪くなかったので本作もリリースを楽しみに待っていたのですが、完全に期待外れでした。

たしかに「残暑」には「暑」の字が入っています。しかし、「残暑お見舞い申し上げます」と言いつつ、でも真夏に比べたらそれほどでもないんだけどね(笑)という余裕こそが残暑の本質ではないでしょうか。本作のように、ひたすら暑くすればいいというものではありません。これでは、ただの「夏」です。

もしかして、今回の制作陣には日本の四季を理解していない外国のスタッフが入ってるのか?(これって差別かな^^;)

このような杜撰なやり方がまかり通ると業界全体にとっても良くないので、創り手に反省を促す意味を込めて、星一つとさせていただきます。これでもしも次回作の「初秋2019」もこんな調子だったら、さすがに切るかもしれん……

75438人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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Cherry Blossoms
★★★★★ 最高の季節!
2019年9月7日

タイトル通りの暑さで何の不満もない。一年中残暑でいい。

153746089524796527人のお客様がこれが役に立たなかったと考えています

VRMMORPGものが「ファンタジー」って本当ですか?

VRMMORPGもの、というジャンルがあります。

細かい設定は作品によって違いがありますが、仮想現実の世界でプレイできる(たいていは多人数参加型オンラインの)RPG内を主な舞台として展開する物語、というのが一般的な説明になります。ネット小説およびその書籍化を含むライトノベルを中心に、根強い人気のあるジャンルです。

(言うまでもないことですが、HMDで360度の視界を得たり振動機能で一部の感触を再現したりするぐらいならともかく、全身の感覚が反映されたり意識をゲーム内にまるごと投入したりできるようなVRゲームは、いまだに実現されていない未知の存在です)

このジャンルの代表作は、言わずとしれたあの作品。現在でも業界ナンバーワンシェアを誇るメディアワークス=電撃からの鮮烈なデビュー。主要読者にとって馴染み深いRPGのゲーム性が仮想現実で再現されている描写への感動。楽しいはずのゲームプレイが一転、クリアするまでログアウトできずゲーム内で死亡すると現実でも死ぬことになるデスゲーム展開の恐怖。そしてゲーム開発者が仕掛けた罠の意外性……。これらの要素を備えたジャンルのパイオニアとして後続作品に大きな影響を与え、各種メディアミックスも果たした――



そう、高畑京一郎クリス・クロス 混沌の魔王』です。

クリス・クロス―混沌の魔王

クリス・クロス―混沌の魔王

クリス・クロス CDシネマ(1

クリス・クロス CDシネマ(1

といったお約束はさておき。

この、クリス・クロスから始まった(かどうかは知らないので各自好きなタイトルを勝手に代入してください)VRMMORPGものというジャンル。実はネットの一部では、これが「ファンタジー」の一種であるとされる場合があるのです。

たしかに、VRMMORPGものの作中ゲームは、多少の細かい差こそあれ基本的には、人間がいてエルフがいてドワーフがいて、あるいは戦士がいて魔法使いがいて僧侶がいて、といった典型的な「ファンタジーRPG風」の世界設定を採用しているものが多いです。少なく見積もっても、恐らく8割以上がファンタジーRPGでしょう。

では、物語の主な舞台であるゲームの世界設定ジャンルがファンタジーであるという一事をもって、その物語作品自体を「ファンタジー」と見なすことは、果たして妥当なのでしょうか?

問題を明確にするために、VRMMORPGものの類似・隣接ジャンルを見ていきましょう。まずは異世界転移・転生もの。その中でも特に、レベルやステータスやスキルや(主に戦闘時の役割という意味での)職業といったゲーム由来の概念が、舞台となる異世界に導入されている作品群です。代表作は、知名度という点では暁なつめこの素晴らしい世界に祝福を!』あたりになるでしょう。

こうした作品はしばしば、その世界設定の安易さや画一性を批判されています。ですが、仮にそうした声が批評としては全面的に正しかったとしても、作品が「ファンタジー」であるかどうかとは関係がありません。たとえどんなにチープに見えたとしても、実際に「異世界」に主人公が訪れている以上、ゲーム要素を含む異世界転移・転生は間違いなく「ファンタジー」です。

次に、ゲーム実体化もの。これは、自分のプレイしていたゲーム(RPG)がそのまま実体化した(かのような)世界に主人公たちが放り込まれてしまうといったタイプの作品群です。元ゲームはVRな場合もそうでないこともあり。実体化世界においても、レベルやステータスやスキルや職業といったゲーム要素は、形を変えたり変えなかったりしつつ存在していることが多いようです。代表作は、猫耳猫こと、ウスバー『この世界がゲームだと俺だけが知っている』、著者が脱税で起訴され有罪判決を受けたことで知られる、橙乃ままれログ・ホライズン』などがあります。

この世界がゲームだと俺だけが知っている 1

この世界がゲームだと俺だけが知っている 1

こちらも、異世界転移転生とさほど話は変わりません。たとえ元がゲームでありゲーム要素が引き継がれているとしても、そこは既に主人公たちにとっては「現実の異世界」です。ゲーム実体化のプロセスによっぽどの科学的な説明でもつかない限り、ゲーム実体化ものも「ファンタジー」と認めて問題がないでしょう。

さて、これらと比較して、VRMMORPGものはどういった位置づけとなるでしょうか。

表層的な部分では、やっていることは上の2ジャンルとそんなに大きな違いはありません。「中世ヨーロッパ風」の世界でパーティーを組んだりクエストを受けたりモンスターと戦ったりレベルを上げたり家を買ったりセックスしたり。読む側の面白さとしても重複する部分はあるでしょう。

しかし、いかに精巧な世界であれそれは現実ではなく、あくまで科学技術によって擬似的に構築された仮想空間に過ぎません(ゲームも現実の一部だ!とかそういうのはYour StoryでありMy Storyではないのでお引き取りください)*1。そしてほとんどの場合は主人公たちも、そして読者も、予めそのことを承知しています。

VRMMORPGものには、本物の超常的な要素が一つも存在しないのです(フルダイブ型のVRゲーム機という存在自体がファンタジー!とか、だからそういう陳腐で低レベルな混ぜっ返しは要りませんってば)。

このような、いわばガワだけがファンタジーである設定のみを理由に、VRMMORPGものを素直に「ファンタジー」そのものとすることには、わたしはどうしても抵抗があります。

……といったような話を何の気なしにツイッターでしたところ、VRMMORPGものはファンタジーであると主張する人物の一人から「ファンタジー純潔主義」というレイシストっぽい罵倒を頂戴してしまいました。

ヒドい……わたしは純潔主義なんかとは正反対の……そう、「ファンタジーヤリマン」とでも言うべき寛容さの持ち主なのに……泣いちゃうから……(´;ω;`)

(もしも本当に「ファンタジー純潔主義」者だったら、ゲーム要素ありの異世界転移転生もゲーム実体化も、こんなのファンタジーじゃない!で片付けてると思いますよ)

ともあれ。VRMMORPGものがファンタジーならファンタジーでも別にいいんですけど、根拠らしい根拠って聞いたことないなと思うわけです。この件で根拠が必要となるのは、「VRMMORPGものはファンタジーではない」と主張する側ではなく「VRMMORPGものはファンタジーである」の方という点には異論はないですよね?

もしも明確な根拠が存在するのであればちょっと興味があるので、我こそはと思う、VRMMORPGものは紛れもなくファンタジーだ論者の方は、ここのコメント欄でもご自分のブログでもツイッターでもいいので、持論をブチまけてもらえるとありがたいです。よろしくお願いしますm(_ _)m

バーチャルボーイ (本体) 【バーチャルボーイ】

バーチャルボーイ (本体) 【バーチャルボーイ】

*1:現実かどうかを基準にすると、たとえば夢の中の世界が舞台の『NiGHTS』とか『えりかとさとるの夢冒険』とかみたいな作品も微妙になりそうだが、まあVRMMORPGよりはファンタジーだろう。

ナイツ マルチコントローラー付

ナイツ マルチコントローラー付

えりかとさとるの夢冒険

えりかとさとるの夢冒険

「異世界ファンタジー」の意味を歪めることが問題である理由(追記あり)

最近のネットでは「異世界ファンタジー」という言葉の意味が変質してきている、という問題は以前から何度か指摘されていました。

ごく最近になって新たに出てきた「異世界ファンタジー」の用法というのは簡単に言うと、「基準となる世界(多くの場合は現実に近い世界)とは別の一つないし複数の世界が登場するファンタジーもしくは、RPG風の職業やステータスやスキルといった概念が存在するファンタジーということになります。これは言うまでもなく、現在web小説およびその書籍化(ラノベ)で流行している異世界転移・転生ファンタジー作品群を想定したものです。

その背後には若い世代の、

ファンタジーが別の世界を舞台にするのは当たり前でしょ?なのにわざわざ『異世界』って付けてるんだから、転移転生のことに決まってるじゃない

『伝統的なファンタジー』が舞台にしてきた世界と、現在のなろう系ファンタジーが舞台にするステータスやスキルが存在するRPG風の世界は全く質が違う。『異世界』は後者にのみ適用すべきだ

といった認識があるようです。

単純な事実の再確認をしておきます。「異世界ファンタジー」は伝統的に、基準世界、転移転生、RPG要素の有無を問わず、この宇宙・この地球とは別の世界を舞台とするほぼ全てのファンタジーを指してきた言葉です*1。そしてもちろん、それほど最近(要はなろうの隆盛以降)になって成立した用語でもありません。

たとえば、「ミステリ・SF・ファンタジー・ホラーの専門出版」である東京創元社では、「ファンタジイ」のサブジャンルとして「異世界ファンタジイ」が設定されています。このリストを見れば、そこに並んだ作品の中には、世界間移動もRPG的な要素も無い、いわゆる「本格ファンタジー」「伝統的ファンタジー」「世界標準的ファンタジー」が含まれている(というよりそちらの方が圧倒的に多い)のは一目瞭然でしょう。

新しい「異世界ファンタジー」定義を定着させようとする者は、まず東京創元社と闘わねばならないわけです。たいへん恐ろしいことですね。

ただ、本来の意味も歴史もまるきり無視した用法であるというだけでは、実はそんなに大きな問題にはなりません。言葉は生き物です。時代に合わせて常に変化を続けるものであり、旧い世代には思いもよらぬ新しい使い方が出てくるぐらいは当たり前。むしろそれこそが言語文化の豊かさの源と言ってもいいでしょう。

新しい「異世界ファンタジー」が厄介である理由は、別にあります。

転移転生を条件とするにしろRPG的要素を条件とするにしろ、新「異世界ファンタジー」が指す領域は、本来の伝統的な「異世界ファンタジー」にすっぽりと包含されています。新「異世界ファンタジー」は伝統的「異世界ファンタジー」の部分集合ということです。図にするとこうなります。

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もしも新しい用法が定着し、転移転生“だけ”、RPG要素を持つもの“だけ”が「異世界ファンタジー」とされる世の中になった場合。それら以外の本来の「異世界ファンタジー」は、決して「異世界ファンタジー」と呼ばれなくなってしまうのです。図にするとこうなります。

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これは単なる意味の限定に過ぎず、言葉の部分的な“”なのです。

このような文化の発展に全く寄与しないケース以外での新しい言葉の使い方としては、たとえば「チート」などが挙げられます。

主に電源系ゲームでの各種不正行為を意味していた「チート」。これについて、「(まるでチートを使っているかのような)規格外の圧倒的能力」といった肯定的な使われ方が、ゼロ年代後半ぐらいから?ネットを中心に広まりました。

上のTogetterのように、この変化を邪悪なものと捉える意見も多いですが、わたしはそうは思いません。「異世界ファンタジー」の場合と違って、称賛・比喩としての「チート」と、本来の不正の意味での「チート」は重複する部分がなく、別個に共存が可能だからです*2

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これは意味の拡張であり、言葉の成長と言えます。こうした建設的な変化であれば歓迎すべきでしょうね。

もちろん言葉には正解はないので、転移転生やRPG要素のあるファンタジーだけを「異世界ファンタジー」と呼ぶ不毛な行為を禁止することは誰にもできません。たとえそれが、自分のジャンル論にとって都合がいいからという得手勝手な理由によるものだったとしてもです(「異世界ファンタジー」という既存のジャンル名の定義を無理やり捻じ曲げることにこだわらず素直に別の名前を考えた方がよっぽど手っ取り早いだろうとは思うけど)。

ただ、新定義の「異世界ファンタジー」を頑なに使い続ける方々にこれだけは言わせてもらいます。

ご自分が手を染めている行いが文化破壊、言葉に対する“殺人”に当たるという意識だけは持ってください。それが最低限の責任であり礼儀というものです。どうかよろしくお願いします。


(追記:

「異世界ファンタジー」の意味を歪めることが問題である理由 - い(い)きる。

現代舞台で超能力や妖怪が出てくるのもファンタジーって呼ばれてない?漫画で特に。『私は!剣と魔法のファンタジーが!読みたいの!』と切れ散らかした記憶。

2019/09/01 01:10

「異世界ファンタジー」の意味を歪めることが問題である理由 - い(い)きる。

"ファンタジーが別の世界を舞台にするのは当たり前でしょ?" 当たり前じゃない。現実世界ファンタジーに相対するものが異世界ファンタジー。そこに「ゲームもの」とか「転生もの」とかがつくだけ。

2019/09/01 01:39

「異世界ファンタジー」の意味を歪めることが問題である理由 - い(い)きる。

現実世界が舞台の魔法少女ものとかも「ファンタジー」でしょ?異世界ものだけをファンタジー扱いにするのは反対だし、なろう系等のRPG系世界だけを異世界扱いにするのも反対。

2019/09/01 01:42

なんでわたし自身がローファンタジーの概念を理解してないバカ扱いされてるんだ???もしかして、

異世界ファンタジー」は伝統的に、基準世界、転移転生、RPG要素の有無を問わず、この宇宙・この地球とは別の世界を舞台とするほぼ全てのファンタジーを指してきた言葉です

この箇所のことか!?

ここでしているのは「“別の世界を舞台とする”ほぼ全てのファンタジー」の話であって、「この宇宙・この地球(に近い世界)」を主な舞台とするファンタジーについては、ここでは何も語っていません。そういったファンタジーも当然あります。もしも異世界が舞台のファンタジーがファンタジーの全てだと言っているように見えたのなら、書き方が悪かったんでしょうね(「ほぼ全ての、別の世界を舞台とするファンタジー」とした方が分かりやすい)

過去にファンタジーのハイローに関わるこういう文章も書いてます。

上にリンクを貼った前島賢氏の記事でもはっきりこう書かれてますね。

http://maezimas.hatenablog.com/entry/2016/02/01/005627

(ただ、こう「ファンタジー異世界なのは当たり前であって、わざわざ異世界とつけるからには現代から異世界への移動があるはず」というような意見については、いやいや異世界じゃないファンタジーあるでしょ! 『魔女の宅急便』とか『R.D.G』とか『Kanon』とか現代が舞台のファンタジー、いっぱいあるでしょ! とちょっとだけ思うけど……)

そもそも、もしもファンタジー異世界舞台のものだけを指すと思っているのなら、「ファンタジーが別の世界を舞台にするのは当たり前でしょ?なのにわざわざ『異世界』って付けてるんだから、転移転生のことに決まってるじゃない」という「若い世代」の認識に反論する理由がないですね。)


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*1:どこからが「別の世界」となるのかなど曖昧な部分もあるが、ここでの問題とは関係がない

*2:eスポーツ選手に対して褒め言葉で「チートかよw」と言った場合など、紛らわしい場面はいくらかあるだろうが。