い(い)きる。

生きることは言い切ること。

「ぼくがかんがえたさいきょうのラノベ賞選考委員」投票

ネット上では毎日のように、ライトノベルの現状に対する提言が業界の内外から行われています。その中でも定番の一つと言っていい勢力となっているのが「ラノベにも部数やPVや人気投票以外の評価基準を導入すべき」という声。要は直木賞芥川賞のようなデビュー済みの作家・商業作品を対象にしたある程度「権威」のある賞をラノベにも求めるものですが、まさにこれを実現していたはずの「ライトノベル・フロントライン 大賞」は、上のツイートにも見られるようにラノベ作家自身にすらロクに知られることなく、第3回で終了を迎えてしまいました。

第3回ライトノベル・フロントライン大賞発表

ライトノベル・フロントライン』(青弓社)の休刊に伴い、第3回の選考結果は青弓社HPにて発表されました。

ライトノベル・フロントライン大賞」は、人気シリーズの新作やメディアミックス作品といった「売れ筋」が名を連ねるランキングの存在を踏まえ、それらにはなかなか現れにくい新人作家のデビュー作に注目する。商業成績によらず、作品としてのおもしろさ(、完成度の高さ)をしっかり評価することを第一に考え、あまたの作品のなかに埋もれがちなライトノベルの良作を再発見していくことが、本大賞の目的である。

また、受賞作が発表後に売上を大きく伸ばすといったことも特に無かったようです。

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫)

あの夏、最後に見た打ち上げ花火は (ガガガ文庫)

いつかの空、君との魔法 (角川スニーカー文庫)

いつかの空、君との魔法 (角川スニーカー文庫)

ふあゆ (ガガガ文庫)

ふあゆ (ガガガ文庫)

ライトノベル・フロントライン大賞がこのような結果になった理由は色々なことが考えられるでしょうが、敢えて分かりやすく一つ挙げるなら、賞の「選考委員」の問題が大きいのではないかと思います。

もちろん、これまで派手なメディアミックスこそ欠いていたものの*110年以上業界の一線で活動してきた作家である森田季節や、長年「SFマガジン」の書評欄でライトノベルの紹介を続けてきたタニグチリウイチなど、委員本人の実績や能力には問題がありません。

ただそれでも、ラノベの現状に対する大々的なカウンターとして人々の目を集めるには、どうしても知名度や意外性などの点でやや弱かったのではないか、と。ライトノベル・フロントライン大賞は、「この人」が選んだ作品なら試しに読んでみよう、という気持ちを多数の人間に起こさせるまでには至らなかった。残念ながらそれが哀しい現実です。


それはそれとして、このようなラノフロ大賞への世間の冷淡さを見ていて、一つ思いついたことがあります。

じゃあ、いったい誰が選考委員の賞だったら、みんなは食いつくand納得するのだろう?

これを、簡単なアンケートで調べられないものでしょうか。ツイッターで、「#ぼくがかんがえたさいきょうのラノベ賞選考委員」とでもタグを付けてツイートしてもらうとか。このエントリに直接コメントしてもらっても別にいいですが。

投票対象は、現実的に選考が可能な実在の人物であれば、特に制限は設けません。ラノベ作家でも編集者でも有名ブロガーでも、ラノベ以外の小説家でも、小説家以外のクリエイターでも批評家でも社長でも大臣でも大統領でも、好きな名前を一つだけ書いてください。もちろん投票にも資格は要りません。

想定する賞は、プロ作家(ラノフロは新人限定だったがその縛りは無し)の商業作品を対象とし、最終的に少数(最大でも10人以下)の委員による合議で受賞作が選定される形式、程度の大雑把なくくりで考えてください。選考基準など細かい設定を詰めないと決められないという人は、まあ、がんばれ。


「プロ(に近い)読み手が評価するコンテスト」が欲しいと言っても、プロ(に近い)読み手でさえあれば誰でも構わないと思っている人はごく少数でしょう。実際のところラノベ読者やラノベ作家が本当に求めている選考委員は「誰」であり、これからのラノベに「どう」なってほしいのか。

もしもこのアンケートがうまくいけば、新たな「プロ(に近い)読み手が評価するコンテスト」的なものの立ち上げを考えている人(がもし今いるなら)の参考になるかもしれません。



(※票が集まらなくても集まり過ぎても集計はしません)


青雲 バイオレット 大型 バラ詰

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  • メディア: ヘルスケア&ケア用品

*1:今年の10月に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』のアニメ化が決定した。

講談社ラノベ文庫新人賞のTSラノベは「百合詐欺」か?ネタバレ検証

先日、とあるラノベが発売された。公式のあらすじはこう。

http://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000323507

男子高校生の浅田ユヅキがある日目覚めると、女の子の人形の姿になっていた! 
人形の名はセブンス。
一流の魔法使いであり人形師である朝霧キョウコが作り出した、世界最高クラスのスペックをもつレンタルサービス型の美少女オートマタである……らしい。
その役割は、依頼者との会話、家事、警備、さらに性行為にまで及ぶ。
セブンスになってしまったユヅキは、さまざまな男性の性処理のためにレンタルされ、心をすり減らす日々を過ごす。
やがて一ヵ月以上が過ぎ、精神的に限界を迎えつつあったとき、セブンスは女性の依頼者である高校生の少女イチコに出会う。
そして、二人は次第に惹かれ合い……!? 

帯のコピーは「ここが百合✕SFの最前線!」

発売予告に伴いこのあらすじとコピーが公開された時点で、“百合好き”の間からは強いバッシングの声が上がった。いわく、

「TSと百合は違う!一緒にするな!」

TS(F)とは、性転換もの、特に超自然的な原因での性別変更シチュエーションを指す。そして、元が男のTS主人公は、身体が女でも中身は結局のところ男のまま。精神性を重視する(と一般的に言われる)百合というジャンルの基準で見れば、♂→♀TS主人公とヒロインとの恋愛などは単なる“ヘテロ”でしかない。こんなものを「百合」として世に出すなんてふざけるなよ講談社ラノベ文庫……というのが主旨のようだ。

その百合判定基準が普遍的に正しいかはともかく、上のあらすじを見ればTSに当てはまっていること自体はたしかなように思える。実際に作品が発売されてからも、百合好きの「TSは百合じゃない!」の合唱は続いているようだ。

この批判は、果たしてどれだけ妥当なのだろうか。実際の作品内容と照らし合わせて、軽く検証してみよう。

当然、直球のネタバレがあるので注意。










































あらすじでは分かりにくいが、主人公・浅田ユヅキは、単に男子高校生の人格が女性型のオートマタに突然憑依してしまったというだけでなく、同時に、我々の知るいわゆる「現実世界」から、魔法や自動人形が存在する(それ以外は現実とさほど変わらないし舞台は北海道)世界への移動も伴っている。つまり、この作品は「異世界転移・転生」の一種でもあるわけだ。

というのが表向きの設定だが、実際のところは。

・主人公が元々いた世界だと思っていたものは、実は自動人形セブンスがクラウド的なものの上に作り出した仮想現実。

・「浅田ユヅキ」もセブンスの想像が生んだ人格。

・セブンスは起動した直後に、自我に目覚め、既にロボット三原則的なものを自力で解除していた。

・物語開始時の技術発表会の場で、「浅田ユヅキ」と「セブンス」の人格が、「セブンス」自身の意思により入れ替わった(「私自身がこれ以上、現実の世界で生きたくなくて。」)

とりあえず今回の問題に関係しそうな設定を一通り並べてみたが、はー、スッキリした。ネタバレって楽しいな。不用意なネタバレを垂れ流すアカウントがいるのも分かるわ(自分がネタバレ食らったら絶対許さないけど)

さて、これを踏まえた上で、この作品に「TSだから百合じゃない」を適用することは可能だろうか。

まず、「浅田ユヅキ」は単純に「男性」と言えるのか。本編の前半、特にオートマタとしての仕事に就く前の素の状態を見ると、たしかに一人称は「俺」だし、男性器に愛着も持っているし、女体への欲望もはっきりある。

極めつけに、両胸に膨らみがあって、健やかなるときも病めるときも十七年間ともに過ごしてきた俺の股間にあるべき分身の膨らみは、いっさい感じられなかった。

ちょっと待て。いま俺はこの美少女なわけだから、この美少女を自由にしてもいいということか。
(略)
自分のいる世界が夢か現か。そのような壮大な悩みも、思春期男子の性欲の前には泡沫のごとく消える。

だが、このような一見普通の男子高校生そのものと言ってもいい「浅田ユヅキ」も、女性(的な人格)である「セブンス」から完全に独立した存在というよりは、「セブンス」の一部、分身として解釈できそうなフシがある。仮想世界で、自身の製作者である朝霧キョウコと対面した「セブンス」は、現実で「浅田ユヅキ」が経験した神尾イチコとの関係を、自分のことのように語っている。

「えへへ。でも、やっぱり入れ替わってよかったです。多分、浅田ユヅキじゃなかったら、自分が本当は人間なんだって思い込んでなかったら、イチコとあんなに仲良くなれなかったと思います」

「イチコに、会いたい、です。最後に、しますから。それさえ、叶うなら、もう一度だけでも、イチコに、会えるなら、もう、夢をみれなくても、私が、消え、ても、構いません、から」

たとえ情報の継承があったとしても、「浅田ユヅキ」が自分とは完全に別個の存在であれば、このような言い回しにはならないのではないか(現実と仮想が逆だが、飛浩隆「廃園の天使」シリーズの、仮想空間上のリゾート地に自分のデータ的な分身を送り込み、そこでの出来事を後で自分自身のものとして追体験する仕組みに近い関係、かも???)

ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

ラギッド・ガール―廃園の天使〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

更に、一度破壊された後に再び「浅田ユヅキ」として目覚めたセブンスは、仮想世界内でのキョウコとの会話を記憶しており、本当は自分が別世界の人間ではなく最初からオートマタだったことにも自覚がある。明言はされていないが、ここでは既に「浅田ユヅキ」と「セブンス」の人格が統合されているように見える。仮に当初の「浅田ユヅキ」自体が男性人格であっても、少なくとも終盤における主人公を純粋な男性と呼ぶのは難しいのではないだろうか。

(「浅田ユヅキになるために、ほとんどの知識を捨ててしまいました。」というセリフもあったり、この辺「浅田ユヅキ」と「セブンス」が別人格なのか実質的に同一なのか、最後まで読んでも設定がはっきりせず、曖昧に雰囲気でごまかしてるような感触もあるので微妙なところだが……)

あるいは、「浅田ユヅキ」の背後にある主人格の「セブンス」は女性(的な人格)だと言うがそもそもアンドロイド(的な存在)には本来「性別」などというものは無い、といった根本的な反論もあるかもしれない。

それは確かにある程度筋が通った意見だが、その伝でいけば「浅田ユヅキ」にしても男性ではないわけで、つまり本作は「百合」でもないが「TS」でもない、という結論になってしまう。だいたい、アンドロイドやAIその他人工物を「女」と認めず、それらと人間女性との関係を全面的に「百合ではない」と断言したりすれば、この作品に留まらず相当な範囲まで延焼することは明らかだ。百合の園を焼け野原にしてでも厳密な基準を徹底する覚悟はある?

西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)

西城秀樹のおかげです (ハヤカワ文庫 JA)

このように本作は、百合かどうかは議論の余地があるしTS要素が皆無なわけではないが、だからといって「TSだから百合ではない」と簡単に切って捨てられる内容でもない。そこは理解してもらえただろうか。

念のため言っておくと、こんな文章を書いているものの自分は別にこの作品を、何の欠点もない完璧な傑作だと評価しているわけではない。

自分自身が仮想世界内に退避すること自体はともかく、代わりに表面化させる人格として敢えて男性である「浅田ユヅキ」を選ぶ必然性が、設定的にも物語の都合的にもやや薄くないか?とか(セブンス本人は「浅田ユヅキが現実の世界を生きたらどうなるのかなって気になったんです」と軽く説明しているが、ここで言う現実とは自動人形にとって「さまざまな男性の性処理」に他ならないわけで、これは皮肉・悪意の一種なのだろうか?)、

いくら魔法の産物とはいえ、セブンスがシンギュラリティ的〜「強いAI」的〜な状態に至った(本編の大半は主人公の一人称で記述されているので見せかけだけではなく自意識が存在するのは間違いない)理由が、単にものすごくハイスペックだったからというのは、「百合✕SFの最前線」を名乗っておいて、ちょっと……とか(これは作品のせいではないが)、

記憶を完全に失い人格がリセットされたと思われた人造女性がなんやかんやで「マスター」との関係を取り戻すって、これ、ファイブスター物語なのでは???オープニングも実質「お披露目」だし。講談社ラノベ文庫!あなたは…あなたはラノベに何を託されておられるの!講談社!!(※新刊が楽しみで浮かれてるだけなので、ここは真に受けないでください)

ファイブスター物語 (4) (ニュータイプ100%コミックス)

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ファイブスター物語 15 (ニュータイプ100%コミックス)

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  • 作者:永野 護
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/09
  • メディア: コミック

などなど、言いたいことはいくらでもある。

それはそれとして、読まずに叩いている層はもちろん、実際に読んだ上でなお「TSだから百合じゃない」と単純に言い切っている百合好きもいるのを見ていると、その姿勢はいかがなものか、と少しだけ悲しい気持ちになってしまうのだった。ゆりピーかなピー(T_T)(完全オリジナル言語のゆりピー語。流行らせたい)

亀田製菓 海苔ピーパック 42g×10袋

亀田製菓 海苔ピーパック 42g×10袋

  • 発売日: 2017/09/04
  • メディア: 食品&飲料

id:hokke-ookami 氏へのお返事2

これが最後です。これで理解できないようなら、わたしにはもはやid:hokke-ookami 氏と意思疎通できる自信がありません。


(コメント欄)

作家を「未熟」と見なすことの不当性という観点で語っていたことは理解しました。
なるほど差別的な作品を批判することが不当なのであれば、より差別的であるベテラン作家への批判がより不当におこなわれるといえるでしょう。

キャリアの長さでも実績でも総合的に「未熟」とは言い難いことと、その作家の作品が特定の基準において「未熟」であることは、特に矛盾とはいえないでしょう。

「差別的な作品を批判することが不当」である、などと言った覚えはありません。作品内容が思想的に正しいかどうか(「現代では当然のフェミニズム的価値観」が本当に絶対的に「正しい」のかはさておき)は作家としての未熟さ=能力の低さとは別の問題であると言っているのです。作品の思想を批判するなら、部分的にであっても作家の能力の高低ではなく、そこから切り離して行うべきです。これは最初の記事で既に述べていることです。

くわえて楠本氏も「不作為」といった表現を選んでいて、やはり特にキャリアに応じた成熟度のたぐいとは直結させていないように思います

作家として公に発表している人だからといって、環境や経験値には個人差があるだろうから、意識が及ばなかったとしてもある程度仕方がない。作家に責任はあるが、間違うことだってある。

「経験“値”」「間違う」といった表現は、単純に直線的な基準を前提にした作家の未熟さを意味しているように読めましたが。

まったく挑発的でない問題提起も、傲慢さを感じさせない他者批判も不可能だと思いますよ。

貴方自身、エントリで「邪悪」という「敢えて強い言葉」を使ったわけですし、他にも下記のように挑発的なエントリは熱心に書いているわけで、それ自体は問題ではありませんよね。
http://srpglove.hatenablog.com/entry/2019/11/03/235557
つまり貴方自身もよくやっている何ら問題もないことを楠本氏もやっている、という印象が貴方の言いたかったことなのですか?

これは責任回避ではないですが、いち消費者がブログで挑発的な書き方をするのと、著名な業界人が同業者に対して挑発を行うのでは、後者の方が(発言者本人にとって)大きな問題になりやすいのは当然でしょう。それを指して元記事では「大丈夫なのかな」と言ったのですが(大きなお世話ではありますし、実際には楠本まき氏ほどのキャリアと実績があれば同業者の大半は「目下」なので大したリスクも無いのでしょうが)

以上です。

ほっけ燻製スティック 100g 2袋 セット

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id:hokke-ookami 氏へのお返事


(コメント欄)

 id:hokke-ookami

半年遅れになりましたが、楠本氏をめぐるツイッターの問いに対して、一応の応答エントリを書きました。
https://hokke-ookami.hatenablog.com/entry/20191103/1572777249

それで、このエントリを読んで首をかしげたのですが……

>「“現代では当然の”フェミニズム的価値観」というなら、現代を自分たちの時代として生きている若者が比較的多いはずの「未熟な新人」よりも、むしろベテラン作家の方がそこから逸脱してる可能性は高そうじゃない?

上記はひとつの推論として成立していると思いますが、下記の主張と微妙に衝突していませんか?

小川一水氏の方は、新人賞応募作の話なのでまだ分からなくもないけど、こっちは同じプロ作家たちに対してのお言葉だからね。ここまでゴーマンかまして大丈夫なのかな。

プロ作家ほど意識が遅れている可能性があるのであれば、新人よりも既存のプロに呼びかける楠本氏は、srpgloveさんの主張からすればむしろより妥当ということすらいえませんか?

衝突していませんし妥当ではありません。

わたしは一貫して、作品が「現代では当然のフェミニズム的価値観」に沿った内容であるかどうかを作家としての「未熟」さの問題に還元してしまうことに反対しています。

小川一水氏も楠本まき氏も、それぞれ「性的不均衡に無関心」であること、「ジェンダーステレオタイプマニュファクチャラー」であることを作家の「未熟さ」の問題として扱っており、それは不当な態度だというのがわたしの主張です。そして、未デビューの新人ですらなくプロ作家を対象にしている分、楠本氏の発言の方がその不当さの度合いがより高い、ということです。「プロ作家ほど意識が遅れている可能性がある」かどうか(「遅れている」という言い方はわたしはしていませんが)は関係ありません。

加えて言うなら、楠本まき氏の物言いは他の作家の創作姿勢に対する敬意をあまりに欠いているように見えます(トーンポリシングでしょうか?)

もう一度引用しておきますね。


大体のジェンダーステレオタイプマニュファクチャラー(私の造語です)は、自身のジェンダーバイアスに気づかずに、特になんの疑問も持たず描いているのだと思います。それはまことに残念なことだけど、作家として公に発表している人だからといって、環境や経験値には個人差があるだろうから、意識が及ばなかったとしてもある程度仕方がない。作家に責任はあるが、間違うことだってある。今まで気づかずうっかり自己の偏見をそのまま垂れ流してきてしまっていたとして、たとえば担当さんに言われて初めて気づいたら、そこで悔い改めるなり恥じ入るなり、身悶えして変わればいいじゃない。誰もそれによって傷つかないし、困らない。祝福だってするだろう。

そもそもこの部分を、特に挑発的だとも傲慢だとも感じないのであれば、わたしに言えることはもはや何もありません。

以上です。

本音で語る『JKハルは異世界で 娼婦になった』

これまでわたしは、「小説家になろう」のいわゆる「異世界系」の批判に対しては基本的に擁護の立場を取ってきた。個人的にはそこまで好きなジャンルでもないのに。

だが、『JKハルは異世界で 娼婦になった』のような作品が「アンチ異世界」として手放しで褒められる状況の踏み台になるぐらいなら、いっそ異世界ブームはそろそろある程度落ち着いてほしいとすら思い始めている。

異世界という狭い枠組みの中で差別化を図るため、予防線的なメタとマウンティングが半ば必然的に要請される。その地獄のような状況でこそ生まれたものもあったのはもちろんだが、それが心を無限に貧しくする仕組みであることは、作者も読者も気づいているはずだ。

なんとかして抜け出さなくてはならない。このメビウスの輪から。

文庫化記念!現役JKによる『JKハルは異世界で娼婦になった』大紹介!! 

こんばんワセリン!

正真正銘本物ピッチピチビッチビチの女子高生ブロガーであることころの、JKバル(本名:バル・バス・バウ)だよ!今日は、そんなアタシ達JKにとってのバイブル(聖書)……いやむしろバイブ(性具)!と言っていい傑作小説を紹介しちゃうわよ!

は?本物のJKは「わよ」なんて言わない?

オメー日本中の現役女子高生一人残らず全員確かめてみたのかよ?違うよな?ああ?っとに、ふざけんじゃねーわよ、死ねわよ。

……コホン!さて、そのJK小説史に不滅の名を残すタイトルとは……

平鳥コウ『JKハルは異世界で娼婦になった』で〜っす!ウェ〜イ!

初出は「小説家になろう」の女性向け18禁別館「ムーンライトノベルズ」にて掲載されたweb小説だよ。

JKハルは異世界で娼婦になった - 小説家になろう

エロに見せかけてその内に秘めた、フェミニズムとかジェンダーとかエンパワメントとかなんかそんな感じのアレが高い評価をゲット!そのおかげで、なんと!よりによって!あの!SFの老舗である早川書房から単行本で書籍化されたのがだいたい2年前ね。

JKハルは異世界で娼婦になった (早川書房)

JKハルは異世界で娼婦になった (早川書房)

これにより新たな読者を獲得して各方面から大絶賛!「異性愛者で(おそらく)恋愛経験もなさそうなひとたちが、作品中の人間関係を、明示されてもいないのに、「百合」とかいって喜んでいる」で有名な書評家の牧眞司氏もコラムで褒めちぎってたわ!


フェミニズムとかジェンダーとかエンパワメントとかなんかそんな感じのアレなので、はてなの燃えるキリンも反応!

当然、「前年度の1月1日から12月31日までに刊行されたSF&ファンタジー関連作品を対象に、性的役割というテーマを探求し深めたものに与えられる」センス・オブ・ジェンダーも受賞……え?してない?


へ〜、作者はともかくハヤカワはいかにも狙ってそうに見えたのにな〜、意外〜。

ともかく!そんな傑作へみにずむ小説であるJKハルが待望の文庫化よ!しかも、コミケ?とかいうの?(オタクくさいので行ったことがない)で売った短編集もついでに商業で出るらしいわ!よっ、この商魂!

それにマンガの単行本も出るんだって!し、新潮社!?それってあの差別の発信基地「新潮45」の!?大丈夫かしら……不買運動の影響が無ければいいけど……

この辺をまるっと記念して、これからアタシが『JKハル』のカンペキな紹介をしてあげるわ!覚悟しなさいキモータども(^_-)-☆


まず『JKハルは異世界で娼婦になった』とはどういう物語なのか。簡単に説明すると、

  • JKのハルちゃんが、
  • 異世界に行って、
  • 娼婦になる。

お話よ!最近のラノベはクソ長いタイトルを見るだけで内容が全て分かってしまうから便利なのよね……(しみじみ)

まあ、そんな現代のモード(流法)について来れない時代遅れのポンコツどもも中にはいるだろうから、もう少しだけ詳しく説明してあげるわ!

ここでいう「異世界」というのは、中つ国とかアースシーとかナルニア国のような、それぞれ独自の歴史や文化を作り込まれたオリジナリティのあるファンタジー世界、ではなく。漠然と「中世ヨーロッパ」っぽーい、「レベル」とか「ステータス」とか「スキル」とかのRPG的ーな、薄っぺらーい……要するにいま流行りの、異世界転移転生チート奴隷ハーレム俺TUEEE!とか、そういう意味での「異世界」よ!

その作り込みの浅さについて、SF作家兼前と学会会長兼元ディードリットに、異世界でシャワーが出るのはおかしいとかなんとかツッコミ入れられたりもしたわ!

ムッキ〜٩(๑`^´๑)۶最近読んだ『神は沈黙せず』がちょっと面白かったからって許さないぞ〜!JKの黄金シャワー浴びせたろか?オ〜〜っ?

あのねえ!シャワーが出るとか出ないとか!好きとか嫌いとか最初に言い出したのは誰なのかしらとか(ゼロ年代から出てくるな!)!そんなチマチマした設定はアタシら選ばれしJKハル読者にとっては、どーーーーでもいいことなのよ!重要なのはそこじゃねぇの!

現代日本でJKやってた主人公の小山ハル(関係ないけどこの文章書き始めるまでずっと「神田ハル」と勘違いして覚えてたわ)は事故って死んで、「くっさいソシャゲみたいな世界」に転生する。普通のくっさい異世界転生なろう小説なら、そこから主人公の植民地主義的・啓蒙主義的なやりたい放題大暴れが始まるところだけど……そこは、極端な男尊女卑の世界だったの!

転生者でも男なら冒険者になれるけど、女にそれは許されてない。あとなんやかんやの事情で(よく覚えてない)、女転生者のハルがつける仕事は娼婦ぐらいしかなかった、というわけ。娼婦という仕事柄、客との関係などで理不尽でツラいこともありつつハルちんは持ち前のたくましさ?柔軟性?なんかそんな感じのメンタルパワーで異世界生活に適応していくのだった……

察しのいい人はもう気づいただろうけど、JKハルの舞台になってる異世界」は、実のところ現実、アタシ達オンナが生きてる「この世界」の縮図として描かれてるの!オンナがオンナであるというだけで人格が抑圧されてやれることも制限され、オトコは痴漢セクハラモラハラし放題!というこの腐った世界のミニチュア!もちろんそれを見つめるハルの視点(物語は基本的にハルの“リアル”且つ“ユーモア”あふれるJKらしい軽妙な一人称で記述されてるわ)は、優れて批判的なものになってるわよん。

ちなみに、平鳥コウ先生はJKハル以前には、人妻催眠ものの「人妻人形日記」などジャップオス向け性暴力女性搾取作品を書いていたのだとか。兵器産業で荒稼ぎしたトニー・スタークが、アイアンマンになって罪滅ぼしするみたいなものね!カッコいい!犯して!

人妻人形日記 - 小説家になろう

ここがアタシ達JKとかつてJKだった女性読者、それに、かろうじて問題意識を共有していなくもない男性読者に高く評価されてるポイントってわけ。でも、JKハルの素晴らしいところはそれだけじゃないわ。


ハルは一人で異世界転生してきたわけじゃなく、もう一人いっしょに転生した男がいたの。というか実質的にそいつに殺されたみたいなものなんだけど、その名は「千葉」。現世ではハルの同級生だった男子だけど、コイツは要は「チートで調子に乗った典型的ななろう主人公」の役割ね。

アタシはあんまり詳しくないんだけどさー、クラスのオタク君どもが噂してたところによると、なろう小説では主人公とは別に「典型的ななろう主人公」的なキャラを脇役として置いて、そいつを何らかの形でボコボコにするという手法が、一つのスタンダードになってるらしいじゃん?メジャーなところでは、『このすば』のミツルギなんかがそうね。

それによって、この作品は「典型的ななろう小説」とは一線を画していますよという独自性のアピールになるとかナントカ。オタクはイヤラシイことを考えるものねえ。これだけなろう小説が流行っていながら、実は作者も読者も全員「なろう系」ジャンル自体には一切思い入れが無く、内心では「なろう系は99.999999999999999999999%ゴミだけどオレが書いてる・読んでるこのすば/オバロ/リゼロだけは神」(※作品名はあくまで例であり他意はありません)と思ってるしょーもない状況が背景にあるらしいけど、ま、その辺はどーでもいいわ。

この千葉も、なろうsage自作ageの役割を存分に果たすダメダメなキャラなんだけど、その描き方がみょーーーーに生々しいのよね。転生前はオタクで陰キャでニキビ面のクソ童帝。転生後は、ハルに対して恩着せがましく庇護者めいた振る舞いを取りつつ、チート能力で逆転した立場を存分に利用して、かつてカースト上位だった相手を金で買ってセックスする歪んだ喜びにひたる。

「はぁ、はぁ、やべ、俺、小山とやってる……関口たちに教えてやりてえ……」

 つーか、あたしがこっちの世界に来るまで、隣のクラスの三代目系イケメンサッカー部と付き合ってたのコイツ知ってるくせに。

 そういうの込みで興奮してやがんだ。寝取ったつもりでいるんだ。誰がおまえなんかにバカヤロウ。

うっへぇキッモ!

単なる「典型的ななろう主人公」としては過剰なほどに、なんでここまでキモキモイキ(リ)イキ(リ)に描かれてるのかというと、それは同時に千葉が、「なろう小説の作者・読者」の象徴でもあるからなのよね。

現世ではダメダメだったオレが異世界ではチート能力で金!権力!女!をガバチョガバチョ!という都合の良すぎる一般的ななろう小説を書いたり読んだりしてるのが、どんな奴か分かる?

……イキリキモオタクソ童貞以外存在しねぇに決まってるだろうが!こんなもん、腐女子の正体が男性恐怖症でアナニー狂いのネクラ女だってことと同じぐらい自明の事実でしょ!?

千葉というリアルなイキリキモオタ童貞キャラクターを異世界で描くことで、平鳥コウ先生はなろう作家・読者の醜い心性を徹底的に暴こうとなさっているのよね……尊いわ……

そして、実はこのメタ的な仕掛けは千葉という一キャラに留まらないわ。JKハルの舞台となる男尊女卑の世界、それ自体が「小説家になろう」というサイトの象徴なの!異世界転移転生チート奴隷ハーレム俺TUEEEのような、男性に都合のいい物語だけが延々と投稿され続ける現代のソドム!それが「小説家になろう」というサイト!

つまり、JKハルの男尊女卑な異世界は、異世界転移転生チート奴隷ハーレム俺TUEEE」が支配する男根主義的な「小説家になろうでもあり、我々が住むこの女性抑圧的なクソッタレ現実世界でもある、という重ね合わせになっており、その全てが同時に批判されてるのよ。なんて美しい三重構造……(T_T)

え?「小説家になろう」には、女性主人公の作品も女性作家の作品も女性向けの作品も色々たくさんあるのでは(悪役令嬢とか)?それらはそれらで女性にとって「都合がいい」内容なんじゃないの?そもそも、JKハルが掲載されてたのも、なろうの女性向け18禁別館なんだから、女性作者・読者に居場所が無いとか虐げられてるってのは考えにくいんじゃ?って?

おい……それ以上調子に乗ってっと、マック(McDonald's)で〝語る〟ぞ……?JKにマックで〝語られ〟て生き残った人間は一人もいないってハナシ、聞いたことぐらいあんだろうが?なあ、シャバゾーよぉ……?

あのねぇ!なろうの実態との乖離だのなんだの、そんな細けぇことを考える必要は一切無いわ!

ゴチャゴチャした複雑な現実をバッサリ単純化して読者を接待するのが優れたエンタメってものでしょうが!なろうは男性原理に染まった“悪”!こうまとめた方がスッキリするしラクチンチンでしょう!?

それに、今はなろうなんていくらブン殴ろうが、擁護する奴も滅多にいないから安心安全!それどころか、ロクになろう読んだこともない知ったか書評家が「アンチ異世界転生」とか言ってベタ褒めしてくれんのよ!?ウハウハのボロ儲けじゃない!楽しいこと見つけて、そればっかりやってて、何が悪いのよォ!


さて、未読者向けにJKハルの大雑把な魅力はだいたい伝えられたと思うけど、最後にもう少しだけ本編の具体的な内容に触れた話もしたいわね。というわけで、ここから先はネタバレ有り、というか全開になるわ。それでも構わないという人だけ読んでね♥

(ネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレネタバレ)

ふぅ、このぐらいでいいかしら。

物語終盤。なんやかんやあって同僚の娼婦を兵隊の戦時性暴力(ザ・レイプ・オブ・ナロウ)で殺されたハルはブチギレて、実は持ってた超TUEEEチート能力で加害者の兵士たちを全員ブチ殺してしまうの。それはまあ別にいいんだけど、それからなんやかんやあって数日後のこのセリフ。

「ここは男子の遊び場で、男子だけの楽しいごっこ遊びの世界なの。自分たちの都合の良いルールと趣味だけで盛り上がって、ちょっとツッコまれたらムキになって。だけど、そろそろ女子のことも意識していいんじゃないかなー。女子の考えてること知ったら、もっといろんな発見あるのに。自分たちの世界を壊されるの怖がってるのかもしれないけど、いつまでも内輪だけで盛り上がってたらそりゃキモいって言われるよ。もう少し開けよ。女子の話も聞けよ。そうすりゃもっと大人で、陽キャな世界になれるのに」

「でも、全部が嫌いってわけじゃないよ。面白いところあるし、良い人もたくさんいる。友だちだって出来た。住めば都だなんて思わないしクソ田舎だと思ってるけど、あたしから踏み込んでいけば、心を開いてくれないわけじゃないのわかってるし。それでも上手くいかなくて泣きたいこと多いけどさ。ひどいことされてキレるときだってあるよ。でも、報われないばっかりじゃなくて、楽しいこともあるし、笑っちゃうようなこともちゃんとある。娼婦だけど、毎日ぎりぎりだけど、あたしはここで生きてるんだって感じてる」

。。。。。。。。



はっ!ゴメン、今ちょっとアヘ顔になってたわ(※ここで言うアヘ顔とはハの字困り眉で紅潮した表情のことで、性的絶頂とは無関係です)

何度読んでもスゴい……スゴすぎるわ……

このセリフの「ここ」は当然、JKハルの異世界小説家になろう≒現実世界の三位一体を表してるわけなんだけど……このスゴさが伝わらない鈍い人のために、敢えて801でたとえてあげるとこんな感じよ!

腐女子が謎の絶対的な力で支配する異世界。そこに召喚された女顔のノンケ男主人公が、「受け」としてガタイのいい男と無理やり番わされ後ろの穴を犯される毎日を送っていたところ、ある日ひょんなことからブチ切れて巨根絶倫オラオラ系の本性を表してしまう。支配層の腐女子を皆殺しにした挙げ句、血まみれの巨根をブラブラさせた主人公が「俺さあ、BLも全部が嫌いってわけじゃないんだよね〜(^^)」と嘯く……

みたいな!そんな血も凍るほどの殺伐とした状況でありセリフなのよ、これは!ヒェ〜〜〜〜!

は?男女や、なろう小説とBLにはヒタイショーセーがあるから単純に反転はできない?

……まあ、アタシ馬鹿だからヒタイショーセーだかチツナイシャセーだかよく知らないけど(ガン無視)!とにかく、JKハルが恐ろしいほどにトンガった小説だということは、これで十分伝わったわね!アンタたち、JKハル文庫版、絶対買いなさいよ!マストバイだからね!ロミオ・マスト・バイ!

ロミオ・マスト・ダイ [Blu-ray]

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そういえばちょっと前に、献血のポスターのオタク絵がえっち過ぎるからやめろみたいな話があったじゃない?アタシもああいうオタ向けの下品なデカ乳絵キモくて嫌いだし、アレに釣られたキモオタの血は輸血されたくね〜(苦笑)。だからさあ、今度の献血コラボはJKハルでやれば良くない?作品としてもフェミでジェンダーでエンパワメントでなろう叩きと四拍子そろった傑作だし、何よりイラストも胸が小さくて健全!これなら、アタシたちJKもドバドバ血を抜いてもらいたくなるはず!どう?名案でしょ?

輸血を必要とする患者さんへの感染を防ぐため、過去6カ月間に下記に該当する方は、献血をご遠慮いただいています。

・不特定の異性または新たな異性との性的接触があった。

……………………



とても良い人生のために 失敗の思いがけない恩恵と想像力の大切さ

とても良い人生のために 失敗の思いがけない恩恵と想像力の大切さ

アリュージョニストに○される

「幻想再帰のアリュージョニスト」というなろう小説があります。

幻想再帰のアリュージョニスト - 小説家になろう

作者は「最近」(これがペンネーム)。別作品で既に商業デビューも果たしている実力派作家です。

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

この「アリュージョニスト」自体は書籍化されていませんが、異世界転生俺TUEEEハーレムをベースにしながらも複雑で奥深く味わいのある物語と設定とキャラクターが若い世代にバカウケして、カルト的な人気を誇る作品となっています。現在のデータ(パラメータ)はこんな感じです。

  • 文字数    3,598,160文字
  • ブックマーク 11,667件
  • 総合評価   26,539pt
  • 累計PV               6,686,920

とりあえず結論を言います。

助けてください。

わたしを、「アリュージョニスト」から救ってください。

そもそもの発端は、3年ちょっと前のこと。当時のわたしはアリュージョニストを読んではいたものの、あまり熱心な読者ではなく、更新をリアルタイムで追いかけるほどではありませんでした。そんなある日、公開された最新話を読んだらしいアリュージョニスト読者たちの様子が……どうも妙だったことがありました。含み笑いをしているような雰囲気、とでも言いましょうか。軽い不気味さを感じたものの、その時は、変なこともあるものだと首をかしげたぐらいで、すぐに忘れてしまいました。

が、少し後になって実際にその回を読んだ時、わたしは困惑することになります。これ、もしかして、わたしと何らかの関係があるのでは……?と疑ってしまうような新キャラが登場していたからです。その名は「天狗」

第4章 傷つけるのはハートだけ、口づけるのは頬にだけ 4-35 オルヴァ王と十二人のシナモリアキラ2

――認可自警団『夜警団』の名簿検索・・・・・・顔認識実行。該当一名。眷属種第三位、白樺の民と断定。高レベルの幻翼を確認、脅威度は中。備考:汚染された自律思考体の存在を多数確認。優先的な対処を要する。現在ランキング六位。対象識別コード『天狗てんぐ』の追跡調査を継続する。

なぜ「天狗」という単なる普通名詞がわたしと結びつくのか。

今となってはお恥ずかしい話ですが、ある時期わたしはネット上でラノベ天狗」という肩書で活動していました。オリジナルでは全然なく、元ネタはTwitter連載のweb小説「ニンジャスレイヤー」のキャラクター「ヤクザ天狗」ですし、「ラノベ天狗」自体も他人が揶揄として使っていたのを敢えて拝借した(パクった)ものです。

ニンジャスレイヤー第3部-4 ケオスの狂騒曲

ニンジャスレイヤー第3部-4 ケオスの狂騒曲

ラノベ天狗」の主な活動は、「最近のラノベ」について蔑視と偏見に基づいたいい加減な発言、即ち「雑語り」を見つけた時に、RTやブックマークをしておくこと。たったそれだけの他愛のないものです。なので、あまり仰々しい名乗りをするようなもんじゃないな……とすぐに思い直す(後悔する)羽目になりました。アリュージョニストの当該話数が公開されたあたりが、ちょうど「ラノベ天狗」の名前を使わなくなったかどうかという時期だったと思います。

ラノベ天狗」への評価、というか批判としてよく言われていたのが、「自警団気取り」「人の話を聞かない」「独りよがり」といったものです。これらがどの程度実情に即しているのかはさておき(自分ではなんとも言えない)、アリュージョニストにおける「天狗」の描写は、そうした敵対者による否定的な見方も含めた「ラノベ天狗」と共通する部分がいくつか存在します。

侮蔑を隠そうともしない殺人鬼だが、眼鏡の男はそうした態度には一切構わずに好き勝手にしゃべり始めた。そもそも相手を見ていない。彼は眼鏡の内側に映し出されたシナモリアキラのこれまでの戦いの記録動画を視聴しているのだった。

「サイバーカラテの理念、深く感動したよ。俺はシナモリアキラには詳しいんだ。何でも知ってる。だから俺がシナモリアキラだと言っても過言じゃない」

聞かれてもいないことを一方的に捲し立てる。根本的に他者との会話に向かず、言葉を並べることでしか自己主張ができない。殺人鬼が容姿から推測して貼ったレッテルは図らずも的確なものだった。

「雑にサイバーカラテを語るな。お前のような不適切なシナモリアキラを取り締まるのが俺の使命――そう、俺はシナモリアキラ警察。第五階層の秩序を守護する、正義の夜警ナハトヴェヒター――全ての暴力は俺が独占・管理する!」

「天狗」という名前*1だけ、もしくは「雑語り」を(勝手に)取り締まるひとり自警団という設定だけ、そのいずれかであれば、わたしも多少の違和感を覚えたぐらいで済んだでしょう。しかし、その両方とあっては……。アリュージョニスト読者の中でわたしを知る人々が、妙にざわついていたのも納得です。

自分の中ではほぼ確信に近い印象だったものの、決定的な証拠と言えるほどのものはありません。そのためわたしはこの点について、Twitterやブログでそれとなく指摘するに留めました。ちなみに、リプライ等でのやり取りこそ無かったものの、作者の「最近」氏は当時からTwitterでわたしのことをフォローしてくれています(フォロワー様は神様です!)。もしも意図せずたまたま偶然わたしとキャラ設定がかぶってしまっただけなら、記事やツイートを見て軽く説明でもしてくれるかも……と期待した姑息なやり方ですね(苦笑)

結局、「最近」氏からの反応は一切ありませんでした。

それ自体は、単にツイートを見逃しただけかもしれませんし、なんならフォローだけしつつ実際はミュートしていた可能性もあります(それはそれでツラいな……(T_T))。しかし、どうしてもこの「天狗」の一件が、小さいながらも無視できない引っかかりとなり、わたしは結局それ以来アリュージョニストを読むこと自体をやめてしまいました。

モヤモヤは残るものの、ともかくそれで終わった話。この間までは思っていたのですが。

つい先日、このようなブログがはてなで公開されました。

アリュージョニスト作中の倫理観に関する違和感を表明する記事です。わたしとは全く違う理由ですが、執筆者の方もアリュージョニストを読むのをやめてしまったようです。

 「そもそも倫理的ではない作品の非倫理性」を楽しむことができればよかったのだが、ぼくの観測範囲で「倫理!」と持ち上げる向きがあり、どうもそれも難しく、いろいろ悩んだ末、結局読むのを止めてしまった。どうでもいいですね。インターネット止めるべき。おしまい。

この記事もアリュージョニスト読者から「お気持ちブログ」などとバッシングされてたいへん可哀想なのですが(ブログ名まで「お気持ち日記」にしてしまった)、それはさておき。

わたしは、この記事に触発されてつい、こんなツイートをしてしまいました。

ほんの思い出ばなし程度のつもりだったのですが、どうもこれがアリュージョニスト読者の逆鱗に触れてしまったようなのです。

概ね、被害妄想・自意識過剰といった決めつけが大半で、それに「紀人」「邪視」といった作中の用語をトッピングしたツイートなども見られました。中には表面上は丁寧な言葉で近づいて来る人もいましたが、その意図は結局のところ、アリュージョニスト無謬説の立場からこちらの「誤解」を正そうとするものでしかありません。四面楚歌とはこのことですよ(;´д`)トホホ…

アリュージョニストの読者とはいえ、当時の状況すらよく知らないらしい人も含めて言いたい放題言われっぱなしというのは、やはり悔しいものです。「問い合わせてみたら?」という声もあったことですし、せっかくなので数年来の疑問を解決するために、作者の「最近」氏に直接リプライで質問してみることにしました。

う〜〜〜〜ん?勢いでつい、「だいたい把握しました」と言ってしまったものの……?

悪意は無い、わたし個人ではなくあくまで「属性」「概念」を参照したもの(だから問題ない)、という主張のようですが、果たしてどうなんでしょうか。こちらが本当に聞きたい「わたしとはあらゆる意味で何の関係もないと言い切れるものなのでしょうか?」という問いについては、曖昧にはぐらかされてしまった感もあります。

そこで、わたしというか「ラノベ天狗」を以前からご存知の方々に一つお願いがあります。「アリュージョニスト」の当該話数を読んで、「チェック」をしてみてもらえないでしょうか。アリュージョニストの「文脈」に染まっていない人間があの話を読んで、そこに登場する「天狗」というキャラが、このわたし、srpglove、the account formerly known as “ラノベ天狗”の存在とは一切まったく完全に1ミリの隙もなく無関係なところで造形されたものと思えるかどうか、その検証をしてほしいのです。

第4章 傷つけるのはハートだけ、口づけるのは頬にだけ 4-35 オルヴァ王と十二人のシナモリアキラ2

(アリュージョニストは一話が長く、この回で「天狗」の登場するシーンは他のキャラ紹介に紛れて一つあるだけなので、ページ内検索で「天狗」を見つけてそこから遡るのが効率的かもしれません)

前提となる、ほぼ確実に断言できる事実をいくつか挙げておきます。

  • 作者の「最近」氏は当時からわたしのフォロワー
    • ラノベ天狗」のことも当然知っている
  • 当時、「○○天狗」の名前で(ネット)自警団的な活動を行っていたのは、元ネタであり架空の存在であるヤクザ天狗を除けばわたしぐらいだった
    • ヤクザ天狗派生の○○天狗というアカウント名は複数あったようだが、自警団活動はしていない
    • ヤクザ天狗自体は「雑語り」狩りとは無関係

結果の方は、この記事のコメント欄やブコメツイッターでのリプライなど、わたしの目につくところであればどこでもご自由に書き込んでください。

よりによって少し前に「ゆるパク騒動」なんてものが起こったばかりのタイミングなので、ロクに確かめもせずこれもその類いのイチャモンだろうと片付けられても、正直しかたないかなとは思っています。それでも、もしも検証に協力してくれる方が一人でもいるなら、それだけでわたしは救われて、明日もなんとか生きていくことができそうです。

どうか皆さん、よろしくお願いしますm(_ _)m

S&B シーズニング アヒージョ 10g×5個

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*1:これは一応、妖怪の名前を持つ一群のキャラクターの内の一つ、という位置づけではあるらしい。