い(い)きる。

生きることは言い切ること。

性別による小説(ラノベ)受容態度の違い

一般的に知られた事実ですが、小説の読み方には大きく分けて二種類あります。1.描写を元にして作中の光景や人物の容姿を映像のように具体的にイメージしながら読むタイプと、2.視覚化にはさほどこだわらず「文章そのもの」を読むようなタイプです。

この読書スタイルの違いは当然、作品の評価基準にも影響を与えます。極端な言い方をすると映像化タイプの人にとっては、たとえばシンプルな描写でテンポ良く進行する作品というのは、小説として楽しむために最低限必要な情報量が足りていない不完全な失敗作でしかないわけです。

これは、数年来「小説」「ライトノベル」に関する発言を主にTwitterで観察し続けてきたわたしの実感ですが、脳内映像化タイプの人間はどうやら女性に多いようです。この小説はキャラの外見や風景が思い浮かばないので読め(たもんじゃ)ない、といった女性アカウントの発言を何度となく目にしました。

右脳が弱くいつもいい加減なイメージで小説を読んでいるわたしなどは、その程度のことが本当に大きな欠点になるのか?と、つい首を傾げてしまうところです。しかし、言われて見れば思い当たるフシもあります。

主に男性向けのエンタメ小説カテゴリーであるライトノベル。その中で、比較的女性にも受け入れられた作品を見てみると、その場の視覚的要素を一から十まで書き起こすような緻密な描写が売りのものが目立ちます。

ラグナロク―黒き獣 (角川スニーカー文庫)

ラグナロク―黒き獣 (角川スニーカー文庫)

されど罪人は竜と踊る (角川スニーカー文庫)

されど罪人は竜と踊る (角川スニーカー文庫)

女性向けのレーベルはあまり読んだことがないので分かりませんが、恐らくは全体的に、少年向けよりも視覚的な描写に重きを置いた内容になっているのでしょう。

また、小説から話はズレますが、女性向けの漫画には男性向けと比べて、キャラクターの頭身が高くリアル寄りの絵柄が多い傾向があります。

これもまた、小説の場合と同じ感覚の現れではないかと思われます。キャラをデフォルメすると実体を持った存在から概念(萌え要素)に近づくため、女性向けではあくまで生身の「人間」として描かれる必要があるわけです。たとえ建前であっても。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

省略や抽象化といった手法にあまり価値を見出さないこのような傾向が、文化によるものなのか、それとも脳の器質的な差異に由来するのかは、これからの研究を待たねばなりません。ただ、女性向けに作品を書く男性、あるいは男性向けに作品を書く女性は、この点を意識しておいて損はないでしょう。

最後に余談ですが、わたしが小説を読む際の脳内イメージはだいたいこんな感じです。

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