い(い)きる。

生きることは言い切ること。

「ライトノベル」の書き方

はじめに


友人に冗談で言った「ライトノベルを書く」という作業がさっぱり進まない。

そもそも私はブギーポップぐらいしかラノベは読んだことがないのでどんなものなのかよくわからない。

私はこれでもそこそこの読書家だから、大抵のものは読めると勘違いしていたのだが、今まで読んできたものとラノベは、文体がかけ離れすぎて外国語を読んでいるような気分になる。

面白い面白くない以前に読み方がわからないのだ。

読み方がわからなければ書き方もわかるはずがない。

どうもこのままでは人生を損するような気がするので、どなたか読み方と書き方をご教授してください。

読み方については、習うより慣れろ、ぐらいしか言えることはない気がします。この人はアイマスがお好きだそうなので、まずはアイマスのノベライズ?あたりから読み始めてみるのがいいんじゃないでしょうか。そもそも、別にラノベを読めなくても、損をすることなどほとんど無いとは思うけど……

(↑自分は読んでないしアイマス自体ぜんぜん知らないので、アイマスファンから見た出来の良し悪しは分かりません)



さて、本題である「ライトノベルの書き方」。これについてはわたしも日頃から考えていることが多少あり、いい機会なので簡単にまとめてみます。

元ブログの記述からうかがえるプロフィールに合わせて、

ラノベ以外のオタク文化(漫画・アニメ・ゲームその他)にはそれなりに触れており、且つラノベ以外の『普通の小説』なら問題なく自由にいくらでも読めるし書ける人」

を想定した内容となります。

なお予め言っておきますが、この文章は全て、ラノベを含めて長編小説を一本も書き上げたことのない人間の意見です。


1.ラノベ主人公

ラノベ主人公は、「男性」の「中高生」もしくはそれに相当する年齢に設定しましょう。

ライトノベルのメインターゲットは主に男子中高生であるとされています。主人公を主要読者層が感情移入しやすい造形にするのは、言うまでもなくエンタメの基本です。

最近では、社会人読者の割合が大きくなっているという話もあり、作品内容においても成人(おっさん)主人公作品が増加しているようですが、それでもラノベの王道はやはり少年主人公でしょう。逆に、少年であっても小学生以下を主人公にすると、それもやはりラノベから遠ざかることになります(児童文学などの隣接ジャンルに近づく)

また、女性読者には女性向けのジャンル・レーベルが別にちゃんと用意されているので、女性主人公作品はそちらで書くのが無難です。何事も住み分けが大事。


2.ラノベ美少女

メインキャラクターに、「美少女」(20代以上を含む場合もある)を登場させましょう。人数は3人以上が標準的です。

書店でラノベコーナーに平積みされた表紙を見れば分かるように、現代ラノベに美少女は欠かせない存在です。「美少女」と言いますが、実のところ外見については、そこまで躍起になって美しい可愛い見目麗しいと強調する必要はありません。イラストで補完されるからということではなく、フィクションに登場する若い女性は、ことさらに醜いと描写されでもしない限り、概ね美しいものとして想像・認識されるからです。

(「フィクションに登場する若い女性は、ことさらに醜いと描写されでもしない限り、概ね美しいものとして想像・認識される」ような状況そのものに批判的な立場もあるでしょうが、現在のところはとりあえずそうなっているという話です)

顔を含めた身体のパーツと服装にそれぞれ一つずつ特徴的な要素があれば、それだけでも視覚的な意味での「美少女」描写としては十分でしょう。ラノベにおいてはそれよりも、「美少女」的な人格に描くことの方がよほど重要です。

「美少女」的な人格とは何か。なかなか説明が難しいところですが、ひと昔前に流行ったセリフに特殊な語尾を付ける手法や、「ツンデレ」「ヤンデレ」「素直クール」といったキャラ類型用語を見ても分かるように、ある種の記号化、そして主人公への(異性としての)好意が重要であるのは間違いないようです。

オタク文化における「美少女」概念に関しては、それこそアイマスのプレイヤーなどであれば、わたしなんかよりよっぽど深く理解していると思われるので、今更くどくどしい説明は必要なかったかもしれませんね。

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3.ラノベ非現実

物語に、ファンタジー的・SF的・その他の非現実的な要素を取り入れましょう。

ラノベにおける「非現実的な要素」というのはつまり、超能力とか巨大ロボットとか魔法少女とかタイムリープとかVRMMORPGとか異世界転生とかのことです。ラノベ外も含めて既にある程度ジャンル化されている要素が採用されることが多く、異世界ファンタジーでも、一般的な「(剣と魔法の・RPG風)ファンタジー」のイメージから著しく逸脱するような設定は忌避されています。

必ずしも現象の背後に説得力のある理屈を用意する必要はありませんが、不条理且つ「読者の喜ばない」展開はやめましょう。

 ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。

これは、明らかに非ラノベ的な非現実の好例です。

「ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一人の巨乳な美少女に変ってしまっているのに気づいた」

とすれば、かなりラノベ的になるのですが(ただしこの例は男性主人公ルールに抵触している可能性があります)

胸躍る非日常性と、受け入れやすさのバランスが大事ということですね。


4.ラノベ学校

主人公の通う学校を主な舞台の一つとしましょう。

少年を主人公としている以上、学校が登場するのは当たり前のように感じるかもしれませんが、これは現代日本ベースの作品に限った話ではありません。未来や宇宙や異世界でも、何らかの学校もしくは学校類似の施設を用意しておくべきです。

学校というものは、現代ではほとんどの人間が一度は通うことになる場所。そのため、説明にさほど言葉を費やさなくても大体のイメージを共有することができます。たとえば、最初から異世界を舞台にしたファンタジーは現実からの距離が大きすぎて取っ付きづらさを感じさせる場合がありますが、そこに「魔法学校」などの設定を導入すると、学校という馴染みのある概念を入り口にすんなり世界観へ入り込めるわけです。

また、多くの人にとって現実の学校は「何かが起こりそうで結局は何も起こらない場所」であるため、架空のものでも学校が非日常的な物語の舞台になるだけで、読者は潜在的な願望が満たされ強い快感を覚えることになります。学校そのものの特殊性を題材にした「巨大学園もの」が、ラノベでは昔から根強いジャンルの一つであるのもそうした理由によるのでしょう。


5.ラノベ一人称

地の文は、主人公の一人称で記述しましょう。

少年主人公の語りによる砕けた口語表現が多くなることで、硬い書き言葉による小説とは異なる、まさに「ライト」な読み心地が実現できます。

ただ、本当にリアルな中高生の口調をそのまま再現してしまうと、かえって文章としては読みにくくなるので、その辺はうまく加減する必要があります。純粋な話し言葉ってよりは、SNSなんかで使われる書き言葉の延長ぐらいで考えた方がいいかもしれねーな。

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6.ラノベ台詞

セリフでは、漫画的なデフォルメを積極的に行いましょう。

たとえば、主人公が何かに驚いた時の反応を考えてみます。

「うわっ」

「普通の小説」ではそもそもセリフ化されず「思わず声を上げた」など地の文で処理されることが多い部分でしょうから、これだけでもかなりラノベ的な表現です。しかし、もう少しはっきりとラノベに寄せると、こうなります。

「うっ、うわァああ〜〜〜〜ッ!?」

ひらがなとカタカナの混在。

長音符としての波ダッシュ(〜)の(4連続)使用。

感嘆符疑問符(!?)での驚きの強調。

もちろんこれが全てではありませんが、「ラノベ台詞」に用いられる手法の一例です。

過剰なまでの装飾により、セリフに込められた感情・状況を直感的に分かりやすく伝えるのがラノベ台詞の特徴です。そのため、「普通の小説」の感覚でラノベの台詞を書くと、無機質でそっけない印象を与える危険性があるので注意しましょう。

(なお、顔文字や絵文字などの使用をラノベ台詞の特色として挙げる向きもありますが、そこまでの極端な表現はラノベでもさほど一般的ではありません。今のところ、大半の読者にとっては実験的な手法に対する違和感が先に立つと思われるので、「ラノベらしいラノベ」を目指すだけなら避けましょう)

また、「普通の小説」に比べてセリフの割合が多いラノベでは、セリフだけで誰が喋っているのかを明確にする必要もあります。そのため、各キャラにそれぞれ特徴的な一人称・口調を設定しましょう。

優等生「私は〜よ」

お嬢様「わたくしは〜ですわ」

見た目に反し長い時を生きてきた小柄な人外の老女「妾は〜じゃ」

気の強い女性「あたしは〜じゃねーわよ」

仙台在住のオカルトマニア「えみりゅんは〜りゅん」

など。

いわゆる役割語の使用は、ステレオタイプの再生産に繋がるとして批判されることも多いですが、ラノベにおいて完全に避けるのは構造上かなり難しいはずです。


7.ラノベパロディ

笑いが必要な場合には、他作品のパロディを用いましょう。

完全オリジナルのネタで笑いを取るには優れたユーモアセンスが必要であり、その難易度は、波乱万丈のストーリーを作ることと同じかそれ以上に高くなります。そのせいかラノベでの笑いは、ラノベに限らず漫画アニメゲームその他を含めた他作品のパロディが中心となっているようです。

既存作品のセリフ、キャラクター、シチュエーション、固有名詞などを(それと分かる形で)引用・模倣するのがパロディという手法です。それだけで笑いが取れるのかと不安になる人もいるかもしれませんが、笑いを主眼にした作品でないのなら、10人に1人ぐらいはクスッとしてくれることを期待してもいいでしょう。

元ネタ選びでは、実際はさほどマイナーではないにもかかわらず読者の大半から「これ分かる奴いるのかよ(^_^;)」「マニアックwww」と喜ばれそうな、絶妙なラインを突くのが理想です。「機動戦士ガンダム」「ジョジョの奇妙な冒険」などの超メジャータイトルは、読者にほぼ確実に伝わるというメリットこそあるものの、既にパロディ元として使い古されているため、今となっては避けるのが賢明です。

8.ラノベタイトル

一目でラノベと分かるタイトルを付けましょう。

現在はWEBからの書籍化作品増加の影響により、物語の要点をそのまま説明する長文系がラノベタイトルの主流となっています(投稿サイトでは作品詳細ページにたどり着く以前に読者の気を引く必要があるため、タイトルがあらすじの役割を一部担うことになる)

たとえばこんな感じ。

「そこそこの読書家である俺が友人に言った冗談のせいでラノベを書くハメになったんだがどなたか読み方と書き方をご教授してくれないか?」

ですが、「一目でラノベと分かる」のはそれだけではありません。

「とある読書家(ブックワーム)の軽文執筆(クリエイション)」(漢字に意訳ルビ)

「らのかき!〜ラノベの書き方が俺には分からない〜」(かな4文字)

など。流行は過ぎたとはいえ、これらの形式もやはり依然として、小説のタイトルとして付けられたならば、ラノベであることが一目瞭然となります。

やまなし (ミキハウスの絵本)

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9.ラノベシリーズ

キャラクター・世界観を一エピソードで使い捨てにせず、シリーズ化しましょう。

ライトノベルは時に、「キャラクター小説」と呼ばれることがあります。内面を持った生身の人間を描いてきたとされる旧来の小説と違い、ラノベの登場人物は「キャラクター」である、という解釈を背景としたものです。

「キャラクター」と人間の違いは諸説ありますが、その一つに、唯一無二でやり直しのきかない現実・運命(フィクションでは物語)に支配されているのが人間で、物語から独立して存在し得るのが「キャラクター」、といったような考え方があります。これはゲーム、特に近年のソーシャルゲームスマホゲームのキャラを思い浮かべれば分かりやすいでしょう。

あくまで小説の一種であるラノベの場合、基本的にゲームほどには、登場人物が「物語」から自由になることはありません。それでも、複数のエピソードにまたがって描かれることにより、登場人物と特定の物語との結びつきは少しずつ弱まることになります。

たとえば、同じ文庫本一冊分の文字数であっても、全ページをまるまる使って大きなエピソードを一つ描くよりも、小エピソードを複数まとめた連作短編的な構成の方が、よりラノベ≒キャラクター小説らしくなるということです。ラノベに短篇や1巻完結作品が稀で、打ち切りでない限りほぼシリーズ化されるのは、登場人物を「キャラクター」化するため、と言ってもいいかもしれません。

キャラクター小説の作り方 (星海社新書)

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まとめ

いかがでしたか。

この記事で挙げたポイントを全て守って小説を書けば、ほぼ間違いなく完全な「ライトノベル」が出来上がるはずです。

アイマス好きでそこそこの読書家なのにラノベが書けない!?とお悩みの方などは、参考にしてみるとよいでしょう。

それでは、充実したラノベ執筆ライフをお楽しみください。

書きかたカード ひらがな―幼児から

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